堀江 健一
ホリエ ケンイチグループ
自己否定が強い人は、知らず知らずハードルが上がりすぎている可能性がある
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前回、英語を話題にしたのは、一つの例え話です。
英語に限らず、物事に対して完璧を目指してしまう時、完璧でなければいけないとプレッシャーが強い時
「白か黒か」「100%か0%か」
の世界に入ってしまうことがあります。
何事にも完璧であろうとする「完璧主義者」という人もおられます。
完璧を目指すこと事態は大変素晴らしい姿勢だと思います。
ただその時、度を越してしまうと、最初から100%できないと、「自分はできないダメな人なのだ」と極度のダメ出しを付けてしまうことがります。
スポーツでもお料理でも、パソコンスキルにしても、最初から満点取れれば良いですが、そんなスーパーマンのような人はいないでしょう。何でも練習や経験を積んでステップアップして行くものです。
ですが、目先の「成果」ばかりに気を奪われると、自分を非現実なほど追い込んでしまいかねません。
最初から何でも出来て当たり前、と無意識的に思いこんでしまっている事が、見受けられるに思います。
「すぐにプロ並みに」「すぐに上級者レベルに」と焦ってしまわれる気持ちはわかりますが、自分の上達の度合いが、理想像と違うと、「自分は才能がない」「自分はダメだ」「自分は人より劣っている」と自分を叱責してしまったり、あきらめてしまわれるのは、もったいない事ではないでしょうか?
ダイエットや恋愛でも同じ事です。失敗を繰り返してしまったり、試行錯誤しながら、自分のスタイルを身につけて行くものです。
ところが「完璧主義者」の考え方は、「100か0か」「白か黒か」と極端に分かれてしまっている事が多く、すぐに結果が良いものでないと「これではダメだ!」と焦ってしまいます。
そのため、自らを生き辛い状況に追い込んでしまわれています。
なぜこの様に極端に物事の価値を決めてしまうのかは、また今後お話ししてみたいと思います。
ご本人が、完璧を目指しているという意識があれば、それはまだ本人の意思でもあるので、仕方ないとも思いますが、こうした「完璧主義」や「完全癖」というものは、本人はまったく意識していない事が多くある事が問題です。
別に「完璧に!」なんて思っていない。むしろ人並みで良い
と、むしろ謙虚に思っていても、根底に「今の自分で、おおむね合格だ」と自己受容ができていないと、基本的に「自分はダメだと」思い込むあまり、「他の人だって最初は出来なくて当たり前」という風に思えなくて、「他の人は最初から出来るのが当たり前だろうに、それが出来ないのは、自分がダメだから。少しでも早く人並みになりたい」と言う様に、
当たり前のレベルが非常に高くなってしまっている
ケースが多く見受けられます。
合格点が60点位のところを、90点位だと思い込んでしまって、努力してがんばってしまうのです。もちろんその努力が報われる結果となれば、それも良いでしょうが、大抵の場合は「無理な事をやろうとしている」のですから、焦りや無力感の方が勝ってしまい、良い結果を生む事はできません。
このような状態になってしまっている人を、周りの人が客観的に見た場合、どう思うかと言うと、「理想が高い人」「プライドが高い人」「何でもできると勘違いしている人」の様に誤解して思われてしまう事になりかねません。
どちらかというと、「何カッコ着けようとしてんの?」と、冷やかな目で、見られてしまいます。
何しろみんなが60点で満足して、少しずつ点数を上げて行こうと思っているのに、一人だけ「早く90点取ろう」と、上を行こうとしている人の様に見られてしまっているのですから。
「他人が見ているあなたのイメージ」と、
あなたが自分で思っている「自己イメージ」が
ここまで食い違ってしまっていたら、お互いの理解は難しくなるでしょう。
少し立ち止まって、自分を振り返って見てみる必要があるのではないかと思います。
そして、少しずつでも、
上がりすぎたハードルを下げて行く必要も。
自分磨きも大切ですが、磨き過ぎて傷だらけになって、知らず知らず痛々しくなってしまわれていませんか?