山本 雅暁(経営コンサルタント)- コラム「日経記事;『ノキア・NTTなど通信48社、トヨタやホンダに特許料要求』に関する考察」 - 専門家プロファイル

山本 雅暁
起業・企業存続の為の経営戦略立案・実行と、ビジネススキル向上

山本 雅暁

ヤマモト マサアキ
( 神奈川県 / 経営コンサルタント )
グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表
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日経記事;『ノキア・NTTなど通信48社、トヨタやホンダに特許料要求』に関する考察

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経営戦略 新規事業開拓・立上 2022-02-02 12:53

皆様、

こんにちは。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

 

2月1日付の日経新聞に、『ノキア・NTTなど通信48社、トヨタやホンダに特許料要求』のタイトルで記事が掲載されました。

 

本日は、この記事に関して考えを述べます。

本記事の冒頭部分は、以下の通りです。

『フィンランドのノキアやNTTなど世界の通信関連企業48社が、インターネットに常時接続する「コネクテッドカー(つながる車)」の部品について、トヨタ自動車やホンダなどに特許料の支払いを求めていることが分かった。1社あたり最大で年200億円近い負担になり、次世代車のコスト増につながる可能性が高い。次世代車の中核技術はネット接続や自動運転などソフトの重要性が増している。日本勢の技術戦略は見直しを迫られている。。。』

 

私は、以前から、EVや水素燃料電池車などのコネクテッド次世代環境対応車は、動く電子端末機器であると、ブログ・コラムで書いてきました。

 

つまり、これらの動くコネクテッドカーは、インターネット上でつながった「動く電子端末機器」ですから、ノートパソコン、スマートフォン、タブレット端末と同じ扱いになります。

 

本日の記事によると、通信規格「LTE(4G)」の特許料の交渉を担う米企業のアバンシが、トヨタ、ホンダ、日産の国内自動車メーカー3社に特許の支払を求めて、交渉に入っているようです。

 

アバンシ(Avanci, LLC)は、元エリクソンの知財ヘッド Kasim Alfalahi氏が2016年に設立した無線通信技術のSEP(Standards-Essential Patent;標準必須特許)ライセンスプラットフォームです。

 

アバンシのWebサイトは英語版ですが、以下のURLになります。

https://www.avanci.com/

 

SEPライセンスプラットフォームをもつアバンシは、世界の通信事業者などがもつ特許のライセンス交渉を取りまとめて行う企業です。

 

現時点で、アバンシには、エリクソン、クアルコム、フィリップス、NTT、ソニー、パナソニックなどの関連特許を用いて48社が参画しています。

 

すでに、アバンシは、独BMWとライセンス支払で合意しています。本日の記事は、このアバンシが国内自動車メーカーとの交渉を開始したことに触れています。

 

インターネット・IT業界でビジネスを行っている、ノートパソコン、スマートフォン、タブレット端末関連企業やIT企業は、当然のごとく、自社で開発・実用化した技術やソフトウエア、商品などに対して特許出願しており、権利化しています。

 

多くの関連企業は、お互いに相手方の特許を自由に使用できるクロスライセンス契約を結ぶことにより、過大な特許使用料の支払を避けています。

 

既存の自動車メーカーは、基本的に今まではインターネットに接続しないスタンドアローン;Stand-alone商品である自動車を市場に提供してきました。

 

今後、自動車メーカーがコネクテッドカーを市場に提供する際は、インターネットにつながった動く電子端末機器であることを明確に自覚する必要があります。

 

自動車メーカーは、コネクテッドカー実用化の際には、通信やITなどの企業が開発した特許を使用する場合には、合理的な条件で特許使用料を払うことは、アバンシを通すかどうかは別として当然のことになります。

 

コネクテッドカー市場では、自動車メーカーやIT企業などが共通の土俵で競争することになります。

 

自動車メーカーが、コネクテッドカー市場で勝ち残っていくためのやり方の一つとして、アップルやグーグルなどのIT企業が、電子端末機器をどのようにして開発・実用化し、競争力を維持強化しているのか、学習する必要があります。

 

この学習の中には、特許を含めた通信、インターネット、IT、ソフトウエア、IoT対応、AIなどの分野が含まれます。

 

国内自動車メーカーの中では、トヨタが一足早くデジタル対応を行っており、人的資源を含めて当該分野での基盤強化を進めています。

 

コネクテッドカーの最終目標の一つである自動運転機能付き自動車の実用化では、さまざまな通信、IoT対応、AI、ソフトウエアなどの関連技術を使いこなす必要があります。

 

多くの自動車メーカーは、今後、連携(アライアンス)やM&Aを行いながら、自前で揃える技術と他社から使用許諾される技術やノウハウを選別しながら、自社商品の強みや差別化・差異化ポイントなどを最大化する知恵と工夫が求められます。

 

この知恵と工夫の中には、必須特許の使用許諾料の最小化も入ります。

 

これらの視点から、国内自動車メーカーのコネクテッドカー事業者への対応について、注目していきます。

 

よろしくお願いいたします。

 

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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