荒川 雄一
アラカワ ユウイチ「厚生年金基金の危機!?」
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こんにちは!
さて、AIJ投資顧問による年金消失問題により、厚生年金基金の“在り方”が問われている矢先、また新たな問題が発覚しました。
長野県建設業厚生年金基金が、未公開株運用でも多額の損失を被ったと発表がされました。
同基金は、AIJによる詐欺事件で資産を減らしただけでなく、元事務長が20億円に上る資金を横領し海外逃亡しており、今回の未公開株での損失と、“トリプルパンチ”で資産が目減りしてしまいました。
未公開株での損失については、同基金が運用委託していたソシエテジェネラル信託銀行とユナイテッド投信投資顧問、スタッツインベストメントマネジメントという2社の投資顧問会社が未公開株のファンド業者を選定していました。
今回、金融庁は、3社の運用委託先がファンド業者の運用体制や投資実態の把握をきちんと行っていなかったとして、1カ月から3カ月の一部業務停止命令を出しています。
また、ファンド会社にも、長野県警が家宅捜索に入りました。
今回の事件から、改めて年金基金のガバナンス(統治)が行えていない実態が明らかになったと言えます。
1. 年金基金自体が運用のプロとして機能していない問題
2. 事実上、加入企業が基金から脱退できない、基金解散も困難な制度的問題
3. 年金基金の投資委託先やファンド会社の問題
など、複数の要因が年金基金問題を深刻化させています。
それにしても、社員の老後の生活設計のために、企業が拠出してきた資金が、ずさんな管理の下、大きく棄損していることは大変残念なことだと思います。
そして、この問題の一番の原因は、誰も“当事者意識”を強く持っていなかったことではないかと感じています。
企業はお金だけ拠出して基金に任す、基金は委託先にほとんど丸投げ状態、委託先も表面上の数値で運用会社やファンド会社の選定を行うといったことが、今回の問題の根底にある気がします。
では、最も確実なガバナンスはどうあるべきか!?
やはり、「自分のお金は自分で管理する」ことではないでしょうか。
国は、税制や制度上の仕組みだけ提供し、企業は様々な選択肢を準備し、運用会社はきちんと運用戦略や投資情報を公開し、投資助言会社は投資家の為だけにアドバイスを行う。
そして、生活者たる投資家は、自分自身のライフプランや考え方に基づいて、自分自身の意思で、運用方法などを選択できる仕組みが必要なのではないかと思います。
これからの時代、誰かや何かに依存するだけではなく、まずは、自助、自分で備える“覚悟”が必要な時代になったと思っています。
人間、腹をくくり、“意思”を強く持てば、結果はおのずとついてくるのではないかと。
少なくとも、思って、行動しなければ、「結果」は見えないですからね。
頑張りましょう!
それでは、今週も良き週末をお迎えください。
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