雇用保険未加入者の遡及加入について

凄腕社労士　本田和盛です。

　雇用保険未加入者を加入させるのは、コンプライアンス上も
好ましいことですので、躊躇せずに手続きをして下さい。

　届出義務違反については雇用保険法上、罰則がありますが
(雇用保険法83条)、社内調査で手続きミスが発見された
として、自発的に届け出た場合は罰則が適用となることは
ないようです。

　ただしさかのぼって加入できるのは、2年間だけですので
注意が必要です。雇用保険の加入期間が短いと、社員の
方が失業等給付を受ける場合に不利益となる可能性が
あり、最悪、会社が損害賠償を請求されることがあり
ます。過去の判例(東京地判平成14.1.28)でも、
社員が基本手当の受給額が少なくなったとして損害賠償が
認められています。とはいえ損害賠償が請求されたとしても、
社員の方にも過失があれば、過失相殺されます。御社が
社員の方にどのように説明していたか等、過去の経緯が
分からないので明確にはお答えできませんが、社員の方
から損害賠償を請求されそうになった時点で、ご相談
下さい。

　手続きの方法ですが、届出が遅れたことによる
「遅延理由書」を作成しないといけません。これは
ハローワークにあります。1枚につき4名分しか記載
できないので、複数枚作成しなければなりません。

　賃金台帳と出勤簿については、社員の方の入社時
のものと、2年前の時点のもの、直近のもの、3種類
持参してください。雇用保険の加入は2年前の時点
で遡及加入することになりますので、加入時、つまり
2年前の時点の賃金台帳・出勤簿が必要となるのです。

　他の添付資料は、通常の手続きと同様です。ご不明
な点があれば、再度お聞き下さい。

　

　　　　　　　　　　　　　　　　以上