問題が複雑ですが・・・

　弁護士の坂本です。
　まず，あなたの父親名義の家については，特に父から祖父へ地代を支払っていないということであれば，法律上は使用貸借関係が成立していると考えられますが，使用の目的は祖父との同居及び祖父の介護にあると解され，父も使用貸借関係を開始するにあたり建物改築のため相当額の負担をしている以上，少なくとも祖父の側から一方的に返還請求をすることは，法律上できないと考えられます。
　また，あなたの弟夫婦が住んでいる家については，通常の家賃相場に照らし相当と認められる程度の家賃を祖父に支払っているのであれば，法律上は借家権というかなり強力な権利が認められますので，祖父も正当の事由がない限り退去を請求することは法律上できません。ただし，家賃が通常の金額よりかなり低い場合には，法律上は使用貸借とみなされ，解約が比較的簡単に認められてしまう可能性があります。
　法律上はこのような問題があるため，祖父があなたの弟夫婦が住んでいる家の土地建物や，あなたが住んでいる家の敷地を売ろうとしても，実際にはかなり困難であると思われます。
　不動産屋も，そのあたりの事情は売却の仲介にあたり当然調べることになりますので，現実には買い手が付かないということで話が立ち消えになる可能性もありますが，もし買い手がついてしまった場合には，弁護士を代理人に立てて争わざるを得ない事態になることも考えられます。