臼歯の保存について回答させていただきます。

　こんにちは、歯科医師の山内と申します。毎年の検診と歯石除去、素晴らしいお気遣いですね、これからも続けて下さいませ。このような前向きなご習慣はきっと実を結ぶ事と考えます。さて、今回初の歯の重症とのこと、ご心配お察し申し上げます。私なりに回答させていただきます。

　根管3本というこの歯は大臼歯という最も噛み合わせにおいて加重の掛かる歯ですね。神経(歯髄)が既に無くなっていたという事で歯の質自体も脆くなってしまっていたのかもしれません。なぜならば、歯髄の血流によって歯に栄養が供給され強い歯が維持されているからです。そこに補強もなく加重が掛かったために根が割れてしまったのかも知れませんね。割れてしまった根は感染などを起こしやすく強い力を支えられないので抜根し、健康な歯根を保存して歯の機能を維持することが今回の治療計画と思われます。

・現在痛みはなく、できれば歯は抜きたくないのですが、一部抜歯する以外の治療方法はないのでしょうか?⇒割れ具合によると考えます。歯周組織の損傷が少なく、割れ目も埋めることが可能な程度であれば、そのまま保存する事も選択肢の1つとは考えますが、ご担当医さまからその選択肢の提示が無かったとすれば、かなりの割れ方(抜根せざろうえない)なのだと思われます。その場合は2本の歯根を利用して歯を保存できるのであればよいですね。

・またその治療をした場合、上もので修復とのことですが、痛かったり、うまく噛めなくなったりはしないですか?⇒　仮歯などで噛みやすい形や噛み合わせを作っていただける事と思います。痛かったりうまく噛めないときはその段階で調整していただきます。また、歯根が本来より少ない形になりますので、歯ブラシなどをしやすいような工夫が必要となります。術後の予防も含めて大切になさってくださいませ。


※写真は2つに割れた歯をつなげて修復させていただいたケースのものです。