ネットに惑わされずに実際の住宅を見て。

RC-Zというのは始めて聞いたシステムですが、実際に見かけることも時々あります。

30cmごとのユニットによるシステムを持った壁構造によるRC造のようです。さらに壁の外側はユニットの型枠と内部の断熱材のユニットをサンドイッチしてコンクリート壁を作ります。

メリットとしては
１．設計も施工も簡易なのでコストを抑えることができます。坪単価50-60万円という木造並みのコストであると評価しているサイトもありました。
２．内部には断熱材がコンクリートに打ちこまれているので壁と一体化した断熱性能を得ることができます。

ただ、この点はデメリットにもなり、
１．断熱材によりコンクリートが確実に施工できているかどうかがわかりません。RC造の場合はジャンカ（内部の空洞のこと）ができている場合が多々ありますが、それを確認することができません。
その他のデメリットとしては
２．壁構造なので（2×４の木造も同じですが）窓や開口部に制約があります。ただ、この点は実際に完成済みの住宅ですから、窓の大きさ（小ささ）に対して問題に感じなければ、問題ありません。あなたの好みだと思います。
３．壁構造なので内部に壁が出ていて住みにくい場合があります。また、壁を解体するようなリフォームができません。ネット上のデメリットである「リフォームが難しい」というのはこの点です。が、3階建て100ｍ２を少し超えるような住宅であれば、内部にはそれほど壁は設置されていないと思います。この点もすでに完成済みなので実際に確かめられたらよいと思います。

あとは一般的なRC造の住宅のメリットですが、
１．防音性も高く、また揺れも少ないです。
２．防火性も優れています。
３．たいていはきちんと構造設計がしてあります。
４．RC造のサッシ（窓）と木造のサッシは別物でRC造の方がかなり強度が高く、精度も優れていると考えています。RC造の場合はビル用サッシと言って、安価な木造のものとは種類が違います。ただ、ガラスはぺアガラスかどうか確認する必要があります

デメリットは
１．コンクリート躯体に熱や冷気を蓄熱するので体にはよくないと、私は考えています。
２．外壁がコンクリート打ち放しの場合は問題が多いと考えています。安い住宅でコンクリート打ち放しは困難です。たぶん、コンクリート打ち放しに見えるようなモルタルで補修していることがほとんどです。汚れもつきやすいですし、クラックも防ぎようがありません。タイルやサイディングで仕上げをしてあれば問題は少ないです。
３．設備機器の増設の場合にはその貫通穴をあけることは困難ですから、あらかじめ確認しておく必要があると思います。

４．解体費用は当然高いです。でも、そのようなことはデメリットとは言わないのではないでしょうか。
５．結露や暑くて寒いはRC造とは別の問題だと思います。それらは断熱性能の問題です。

住まいは構造体だけではなく、内部の設備や内装材などによっても決まります。
長く住みたいかどうか、愛着を抱けるかどうか、ビビッと来るかどうか、そうした面からも考えてみてください。

ご参考になれば幸いです。わからないことがあれば、ご遠慮なく聞いてください。

島崎義治
ｙSAS代表取締役/人間環境大学教授
2012.13ｸﾞｯﾄﾞﾃﾞｻﾞｲﾝ賞を受賞しました。
http://architect-studio.com