対象:民事家事・生活トラブル
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今林 浩一郎
行政書士
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名誉毀損もプライバシー権侵害の法的責任
名誉権もプライバシー権も憲法上は憲法第13条の幸福追求権から派生する人格権に根拠があります。そして、名誉毀損もプライバシー権侵害も民事上の不法行為による損害賠償請求の原因になります。一方、刑法上は名誉毀損罪(刑法230条)のみが規定されています。もっとも、プライバシー権侵害が同時に名誉毀損罪の成立要件を充たせば名誉毀損罪も成立します。
まず、名誉毀損罪は、具体的事実を不特定又は多数人(判例は「たとえ3~4名の前で話してもそこから更に不特定多数人に伝播する蓋然性があれば要件を充たす」とする)に伝播させ、人の社会的評価を低下させることにより成立します。たとえ事実が真実でも名誉毀損罪の成立を妨げません。もっとも、具体的事実を摘示せず、抽象的言辞(例えば、「バカ野郎」とか「マヌケ」など)のみを用いた場合には名誉毀損罪(刑法230条)は成立せず侮辱罪(刑法231条)のみが成立します。
次に、プライバシー権に関しては、東京地判昭39年9月28日(下民集一五-九-二三一七)は、プライバシー権を「私生活をみだりに公開されないという法的保障ないし権利」と意義付け、それを公表することが違法となる要件として、(1)私生活上の事実又は事実らしく受け取られるおそれのある事柄であること、(2)一般人の感受性を基準として当該私人の立場に立った場合公開を欲しない事柄であること、(3)一般の人々にいまだ知られていない事柄であること、等の基準を示しました。また、現在では、判例上、プライバシー権に「私生活をみだりに公開されないという法的保障ないし権利」という消極的側面のみではなく、自己決定権の1つとして、自己情報コントロール権(どの程度自己に関する情報を開示するかを自分で決める権利)という積極的側面も認めるようになってきています(東京地判昭59年10月30日、東京高判昭63年3月24日)。
仮に本件の女性があなたの15年程前の会社内での不祥事(具体的事実)をサークル内で言いふらせば、そこから社内全体に伝播する蓋然性があり、名誉毀損罪が成立する可能性が高いです。この場合、あなたは警察署に告訴することができます。一方、仮に名誉毀損罪が成立しない場合でも、プライバシー権の侵害を原因として慰謝料を請求する訴えを裁判所に提訴できる場合があります。
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この回答の相談
15年程前に、人間関係のもつれから、私は社内で不祥事を起し、罰則として解雇されました。
(会社は社の名に傷が付かないように社内で不祥事は解決し、社員にも不祥事については他言してはならない… [続きを読む]
hanyapapaさん (東京都/45歳/男性)
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