先日のある新聞記事に、「形式知」と「暗黙知」について書かれた記事がありました。
「形式知」とは、知識、学問などから得られ、言葉にして説明可能な、言語化できる知識のこと、「暗黙知」とは、現場経験などから得られる、言葉で表しづらい、言語化しづらい知識のことで、最近は多くの組織で「形式知」に長けた人の方が重用される傾向にあり、結果として現場が軽視されるような組織が増えてしまっているということでした。
私個人の感覚でも、理屈が通っている、弁が立つ、数字を上げているといった、目に見える部分ばかりが重視され、現場で培ってきた経験やノウハウなどは、目に見えづらいためか、軽く扱われているように感じます。
人件費の削減、コストカットという名目で雇用調整が行われたりしますが、多くの「暗黙知」を持った人材まで放出してしまうために現場が弱体化し、その後の業績回復が難しくなっている企業も実は多いのではないかと思います。
「形式知」に長けた人というのは、俗にいう頭の良い人です。表現力も説得力もあって、理屈も通っているということになれば、そういう人たちが言う事の方が取り上げられやすいということはあると思います。ただ、そうやって目に見える事ばかりで物事を判断していると、「暗黙知」というような、大事なものを見失ってしまう危険性があるということなのだと思います。
結果も成果も数字も理屈もみんな大事ですが、それだけでは表現できない大事な事があります。経験、ノウハウ、人の気持ち、過去の経緯、義理、人情、その他・・・。
見えづらい事にもしっかり目を向けて、両方をそれぞれバランスよく考えることが、今の企業や組織に問われていることなのではないでしょうか。
このコラムの執筆専門家
- 小笠原 隆夫
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- ユニティ・サポート 代表
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