離婚を考えたほうがいい?優しかった夫がDV… - 離婚問題全般 - 専門家プロファイル

岡野あつこ
株式会社カラットクラブ 代表取締役
東京都
離婚アドバイザー

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離婚を考えたほうがいい?優しかった夫がDV…

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清美さん(27歳)は、ひとつ年下の夫・勝さんと今年3歳になる子供との3人暮らし。
勝さんは物腰の柔らかい男性です。ところが、何かのスイッチが入ると、激しい暴力を振るうのです。
子どもも怖がっているので、なんとかしたいと思っている清美さんです。



夫とは、結婚前の思い出がなければ、とてもやって行かれないと思っています。本当に幸せな毎日でした---。

「ごめんね、きょうのデート、残業になったから行かれない」

「清美は偉いなぁ。じゃあ、俺が会社まで迎えに行ってあげるよ。車で送っていくから、車の中で話せるでしょ?」

こんな、ほのぼのした会話が日常的に交わされ、私の誕生日や、初めて合った記念日、初めてデートした記念日、クリスマスはもちろん、ハロウィンやイースター、私の両親の結婚記念日まで祝ってくれました。

新婚旅行は、夫が運転する車で温泉に行ったのですが、帰り道、助手席でウトウトする私に、

「清美は疲れているんでしょ? 寝てていいよ」

「ごめんね。でも、勝だって疲れているのに」

「俺はいいよ。清美は寝てなさい」

そう言って、前を向いて運転を続けていました。こんなに優しい人と結婚できた私は、世界一幸せだと思って疑いませんでした。(※1)

私は、出産寸前まで仕事を続けようと思っていましたが、夫が心配してくれるので、妊娠8ヵ月で退職しました。そして、夫にいたわられながら、快適な妊娠期間を過ごし、穏やかな気持ちで陣痛を迎えました。

夫は、たっての希望で立ち会い出産に臨みました。私も、優しい夫が一緒という心強さで、なんの不安もなく出産ができました。夫は、長男・豊の誕生に涙を流して喜びました。助産婦さんの手を取って、お礼を言いながらオイオイと泣いてしまうほどだったのです。

私の幸せな日々は、豊が2歳の誕生日まで続きました。豊の誕生日には、かわいいケーキをオーダーし、夫や子どもが好きなものをたくさん作り、食卓はにぎやかに彩られていました。

その日は、いつもよりも早く帰宅する約束の夫は、いつもの時間を過ぎても帰ってきませんでした。やがて豊は眠くなり寝てしまいました。

食事も冷め切った午後11時。夫は酔っぱらって帰ってきました(※2)

そもそも、そんなに酔っぱらった夫を見たのも初めてでした。何事があったのかと驚いている私に、夫はいきなりカバンを投げつけました。

「おい! 俺はあしたから失業者だぞ!」

「勝! 何を言っているの! 豊が起きちゃうから騒がないで!」

「うっせー。バカな部長を殴ったぐらいで、明日からくるなだとぉ!俺を誰だと思ってやがんだ!」

「お願い、勝! ご近所にも申し訳ないから、静かにして!」

私はそこまで叫んだことは覚えていますが、そのあとの記憶がありません。気がつくと、私の傍らで夫がいびきをかいて眠り、豊が泣き疲れたようにその横で眠っていました。もちろん、3人とも床の上です。

外を見ると、そろそろ空が白み始めていたので、明け方だったのでしょう。私は、とりあえず豊をベットに移し、食事を片づけようとダイニングルームに行きました。

そこに広がっていたのは、せっかくの料理が床中に散らばり、ビール瓶が割れ、ケーキが壁に投げつけられたまま、はり付いている惨状でした。私は凍りつきました。私は、豊にだけはこの光景を見せてはいけないと、必死で片づけました。(※3)

すっかり片づけが終わると、朝8時。豊が目を覚ましてきました。豊は荒れ狂った夫に何をされたか、未だにわかりません。

「おとうしゃん、怖いお顔。おかあしゃんのこと痛くしちゃったのね。おとうしゃん悪い子だね。」

子どもなりの気遣いなのか、豊は一所懸命私に話しかけました。その会話に目を覚ました夫が、私たちの方へとやって来ました。私は、とっさに豊を抱き上げました。抱き上げるとその腕に痛みが走りました。きっとどこかにぶつけたのでしょう。夫は、静かな表情でした。

「清美、すまない。きのう、部長とやり合っちゃって、勢いで『こんな会社辞めてやる!』って言っちゃってさ、『あしたからはもう来なくていい』って言われちゃったんだよ」

「本当に会社を辞めちゃうの? 落ち着いて考えた方がいいんじゃない? それに・・・・・・生活はどうなる?」

「ごめん。本当にごめんな。すぐに仕事を探すよ」

前夜とは一転して、元どおりの夫に戻っていたことに安心した私は、そのこと自体にはホッとしながらも、先のことが不安でなりませんでした。生活もそうですが、実は暴力的なところがあることを知ってしまった不安も大きなものでした。(※4)

夫は3日後、新しい仕事を探してきました。それまでの社内にいる事務職とは違って、今度は外回りの多い営業職でした。人当たりのいい夫は、新しい会社でも受けがよかったみたいです。

新天地での仕事も順調らしく、夫は荒れた日のことなどなかったことのように、再び優しい夫に戻っていました。私は心から安堵していたのですが・・・・・・。

「開けろ! 俺だ! 開けろ!」

深夜に鳴り響いた夫の声で、豊と一緒に寝ていた私が目を覚ましたのは、4ヵ月ほど経った日のことでした。夫は、会社の帰りに同僚と飲みに行って、隣のグループの客ともめごとを起したそうです。その荒れたままの状態で帰宅したのでした。

家の中に入ると、少しおとなしくなった夫でしたが、

「勝、いつかのことを忘れたの? 私は、もうあんなことはたくさんよ。お願いだから大声を出したり暴れたりしないでね!」(※5)

「なんだ? おまえ、俺に指図する気か? ずいぶん偉いんだな!」

「そういうことじゃないわ。私、そんな勝なんて見たくない!」

「おお、そうか! じゃあ、見えなくさせてやるよ!」

そう言って夫は、私の目もとに向かって拳を振り下ろしました。目の上の骨と鼻の骨が折れ、床が鼻血で真っ赤に染まりました。その床に倒れた私を見て。夫は慌てて救急車を呼びました。

救急車が来る間に、夫は優しい人に戻り、私を抱きかかえてくれていました。

「ごめん、清美。ごめん、ごめん」

泣き叫ぶ夫の声を聞きながら、救急車の到着を待たずに、私は気を失いました。病院で目覚めたとき、私はこれからの生活を考え直すときがきたと思いました。



※1 ラブラブの間は楽しいものですが、あまり夢中になっていると、ちょっとの失望が大きな痛手になりますので、気をつけて。※2 それまでに、怒って電話したり、探し回ったりしなかった妻は偉かったと思います。
※3 母は強し! この精神力があれば、夫婦は持ちこたえられるでしょう。
※4 完全なDVです。本当は、最初の時点で、専門家に相談しなくてはなりませんでした。たまたま1回殴ったというようなレベルではないのですから。
※5 DV加害者は、命令口調や子ども扱いのような言い方に反応します。イヤかもしれませんが、敬語で接することで、ひどい暴力を回避できることもあります。



【チェックポイント】
この次、大きな出来事があったら、ともかく別居した方がいいと思います。
一緒にいても妻に甘えてDVを直そうとしないでしょうから。別居したまま治療をすることをお勧めします。



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