スポーツの指導を仕事にしようと思う人にとって、日本には障害が数多く存在しています。
そこで文科省が推奨するものとして、「総合型地域スポーツクラブ」という考え方が生まれました。
昨年より文科省の方と何度かお話させていただく機会があり、色々と勉強させていただきました。
また千葉にある日本有数の総合型スポーツクラブを運営されている所にも何度か見学にお伺いさせていただき、
今後の我々の活動の在り方について参考にさせていただきました。
日本の多くの体育施設では、一般的に営利活動で体育館を使用することを約款などで禁止しています。
例えばある人が卓球の指導者としてスクールを開催したいと考えたとします。
まず普通にいけば一般の体育館では場所を貸してもらうことはできません。
ですが総合型地域スポーツクラブという名の元で交渉すれば、学校施設などを借りることが出来るようになる場合があります。
まず「総合型地域スポーツクラブ(※以下 クラブ)」と聞いて馴染みの無い方もいらっしゃると思いますが、
ごく簡単に説明してみます。
1:地域社会への貢献を目指した団体である
2:地域住民がスポーツを複数楽しめる環境がある
3:独立した団体である
そして上記は必ずしも適用される絶対条件ではなく、指針として存在しています。
日本には数千ものクラブが全国に点在していますが、10年間継続出来た団体は20にも満たないのが現状です。
クラブ設立には、法人格は必ずしも必要ではありませんし要件には関係ありません。
むしろ任意団体が9割以上を占めています。
クラブ運営を始めるには、個人事業からのスタートでも問題ないということです。
しかし長くても3年前後で閉鎖してしまう団体が多いのが現状です。
どうしてこの素晴らしい地域社会貢献活動を継続していくことがそんなに難しいのでしょうか。
クラブとしてスタートすればある程度場所の確保はほぼ無料で出来るでしょう。
その後しばらくは頑張るのですが、独立採算が出来ずに終わってしまうケースが後を絶ちません。
事業計画があいまいであったり甘かったり、コロコロ内容を変えたりなどしていると、
独立採算で活動していくということは到底難しいことでしょう。
続いているクラブは最初はどんなにうまくいっていなくても、
諦めずに信念を持って活動しているように感じます。
少し上手くいかないからと料金やサービス内容を安易に変えてしまうのでは、柱が無いも同じです。
コンセプトなどは簡単に変えるべきではないし、何よりそれは無計画を露呈しているだけになります。
あるクラブでは、開始後半年、数人しか会員がいない状態でも我慢してから成功に至っています。
たまにスポーツ関係の経営についての相談や質問を受けますが、
継続していくためには信念を持ってオリジナリティを出していくのがポイントでしょう。
しっかりと事業計画を立てないと、周辺環境や近隣状況などに振りまわされてしまうことになります。
それでは主催者も参加者も疲弊するばかりです。
在り方としては、しっかりコンセプトを持ち、ぶれない経営を基盤としなければなりません。
そしてお金が絡む以上はビジネスということも忘れてはいけません。
スポーツという分野はとかく「情熱」「思い」「根性」という感じになりがちですが、
頭は常に冷静でなければならないのです。
ここからは私見が強くなりますが、
さらに必要なこととしては 「ボランティア精神を捨てる」 ということです。
スポーツの指導にあたる際、お金はきっちり妥当な額をもらうべきだし払うべきです。
ノウハウ・知識・経験はそんなに安いものではありません。
1000円と根付けしたら、「私の指導はその価値です」と言っているも同然です。
額によっては指導する側、される側の気持ちも大きく変化します。
安ければそれなりのサービスしか提供できなくなりますし、
それなりのサービスしか受けることができなくなります。
1個100円などの「品物」とは根本から思想が異なるのです。
安ければ良い、それがサービスだ!というのは当てはまりません。
それほど料金というものは慎重に、真剣に考えるべきなのです。
私は元々マーケティングを仕事としていましたが、
その際も提供するもの・サービスによって「値段」をつけるということは事業の背骨だと認識していました。
すべてを左右するし、すべてを決めてくる根本に位置してくるのです。
指導者としてボランティアコーチを募っても、それなりの意識でしか人は動けないものなのです。
しっかり指導や仕事に責任を持って取り組むためには、対価が払われる必要があるのです。
私は経営者ですが、従業員たちを雇用した限りはお客様(会員様)同様に従業員にも幸せになって欲しいと強く願っています。
これからのスポーツクラブは、
参加する方、主催する側、双方がきちんとサービスを理解して取り組み、
主催者はしっかりとビジネス感覚を持って計画的に運営する必要がこれまで以上にあることでしょう。
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