- 中西 優一郎
- 弁護士法人アルテ 代表弁護士
- 兵庫県
- 弁護士
-
06-6435-8309
対象:民事家事・生活トラブル
- 榎本 純子
- (行政書士)
ラジオ(FMあまがさき、「中西優一郎のLaw・and・Order」の第21回目、平成24年8月23日分)に出演いたしました。
「ライバル会社への転職を抑えたい…同業他社への転職を禁止することはできるの?」というテーマをもとに、お話ししました。
社員が転職を考える際、現在の会社で培った経験や技術を活かそうと、同じ業界の他の会社を転職候補先とすることが多いと思われます。
そこで、自社の優秀な人材が、同業の他のライバル会社に流れることを防止するため、就業規則、誓約書などで転職を制限することはできるのでしょうか。
例えば、社員から「退職後、貴社と競業する会社への転職はしません。」という誓約書を提出させていた場合、このような誓約書は有効となるのでしょうか。
退職後の競業禁止規定は、憲法上の職業選択の自由、自由競争の原理との関連で問題となります。
現在の裁判所の取扱いは、退職後の競業禁止規定の有効性について、
・「期間制限」の有無、内容
・「地域限定」の有無、内容
・「職種限定」の有無、内容
・競業が禁止される業務の範囲
・「代償措置」の有無
などを、総合的に考慮して判断しています。
競業を禁止する期間が、1年以内など短期間の場合は、禁止規定が有効とされる可能性は高くなります。
他方、3年以上の長期間になりますと、期間制限以外の事情(競業が禁止される地域を限定している、機密性の高い情報に接する者のみに限定している、代償措置を設けているなど)が充たされていないと、有効とされる可能性は低いと考えられています。
上記の例のように、期間の制限のまったくない転職禁止規定は無効とされることが多いでしょう。
そして、競業禁止規定が有効とされ、社員がこれに違反して競業行為を行った場合、もとの会社から、社員に対する損害賠償請求、競業行為の差し止め請求が認められる場合もあります。
会社は、退職後の競業避止義務を社員に課す場合、必ず、就業規則、誓約書などで事前に明確に取り決めておき、その内容の有効性を十分検討する必要があります。
番組内容の概要
番組では、同業他社への転職禁止規定の有効性について、
「競業避止義務って何?」
「退職後の同業他社への転職を禁止することはできるの?」
「禁止できる期間、範囲は?」
「違反した社員に対して、どんな請求ができるの?」
「最近の裁判例はどうなっているの?」
などについて、お話ししました。
内容の概要は、以下のとおりです。
退職後の同業他社への転職を禁止することはできるの?
・競業避止義務って何?
・在職中の競業避止義務
・退職後の競業避止義務
・憲法上の職業選択の自由、自由競争の原理との関係
禁止できる期間、範囲は?
・判例の判断基準は?
・「期間制限」の有無、内容
・「地域限定」の有無、内容
・「職種限定」の有無、内容
・競業が禁止される業務の範囲
・「代償措置」の有無
・最近の裁判例
違反した社員に対して、どんな請求ができるの?
・損害賠償請求
・競業行為の差し止め請求
会社が気を付けておくべきこと
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このコラムの執筆専門家
- 中西 優一郎
- (兵庫県 / 弁護士)
- 弁護士法人アルテ 代表弁護士
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弁護士法人アルテ代表弁護士。東京大学法学部卒。企業法務に従事し、労働問題(会社側)に精通。著書「外国人雇用の実務」(同文舘出版)。ラジオ番組出演(FMあまがさき「中西優一郎のLaw and Order」)。商工会議所、大学、企業での講演・セミナー多数。
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