加藤幸彦(エス)です。
写真は、住宅作品「小鳥が自由に飛びまわる大きなリビングルーム」。
道路に面した、外観の様子です。
外壁仕上は、1階にガルバリウム鋼板、2階にはレッドシダー材(ベイスギ)の板張りを採用しています。
この取り合わせは、「メンテナンスフリー」のひとつの考え方を示しています。
まず、1階のガルバリウム鋼板。
言わずと知れた高耐久性の素材です。基材(鉄板)の上に、亜鉛合金のメッキ層、その上の塗装皮膜で構成されています。雨掛かりが激しくない壁面であれば、上部2層は実質的に、建物耐用年数と同期間の耐性があると考えて差し支えありません。また、サイディング形状のものを採用しているので、取付けビスが表に出ていないため、取付け部分の劣化もほぼ心配ありません。
もちろん、経年変化で、少しずつ塗装面の具合が変ってくるでしょう。
この場合あえてペンキを塗り重ねるメンテナンスは必要ないと思います。内部の亜鉛合金のメッキ層がしっかり安定し続けるはずです。
そして2階の「レッドシダー材」。
非常に耐久性のある素材で、ウッドデッキにもよく使います。その表面には、オスモカラー(浸透性の保護塗料)を塗っています。
風雨にさらされてるため、数年ごとのメンテナンス(塗り直し)が一般的には必要ですが、風合いを楽しむためには、あえて「手を掛けすぎない」ほうがいいと思います。
レッドシダー材は、日光や風雨にさらし続けると、もとの赤茶色が徐々に退色していき、だんだんとシルバーグレー色に変っていきます。そして、さらに濃いグレーに変わっていきます。
しかし、風通しのよい立地条件であれば、それが完全に腐ってダメになることはあまり無いでしょう。
経年変化の状況を見定めながら..ですが、「メンテナンス(塗り直し)をしない」(または最小限に抑える)という選択もありだと思います。
つまり、
「いつも奇麗にピカピカ」ではなくて、
「エイジング」を楽しむ、という考え方。
どうでしょうか。
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住宅作品「小鳥が自由に飛びまわる大きなリビングルーム」
→http://open-g.net/press/archives/400
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このコラムの執筆専門家
- 加藤 幸彦
- (東京都 / 建築家)
- 一級建築士事務所エス 代表
テーマは「環境的居住空間」「小さな家」「リノベーション」。
建築の価値観が大きく転換しつつある今、社会的価値観とクライアントの個性を同時に重視し、「美しい空間デザイン」がどうあるべきかを常に問いながら設計活動をおこなっています。
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