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従業員による不正行為は重加算税?

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発表 実務に役立つ判例紹介

国税不服審判所が3月23日に公表した23年7~9月分裁決に、

次のような裁決がありました。

http://www.kfs.go.jp/service/JP/84/03/index.html

 

平成23年7月6日裁決

請求人が損金経理した消耗品費の一部について、工場勤務の従業員Kが、

取引先M社の代表取締役Pがかつての同僚であることもあって、

独断で水増し請求をし、その差額をPから受け取っていたところ、

課税庁は、本件取引を否認するとともに、A社が被った損害につき、

その損害賠償請求権の計上漏れとして益金に計上する課税処分をした。

また、Kの行為は、A社の行為と同視することができるとして、

重加算税も課されている。

 

本件は、

(争点1)Kに対する損害賠償請求権に係る収益計上時期はいつか

(争点2)本件取引は請求人の隠ぺい仮装行為と同視することができるか

の2つについて争われたものです。

 

審判所は次のように判断を下しました。

(争点1について)

通常人を基準とすれば、請求人は本件事業年度において本件取引に係る

損害賠償請求権につき、その存在、内容等を把握できず、権利の行使を

期待できないような客観的状況にあったということはできないから、

本件損害賠償請求権の額は、本件事業年度において益金の額に算入すべき

ものと認められる。

この点について請求人は、本件取引は、Kによる巧妙な伝票操作により

資材課長も欺いて行われていたものであり、通常の管理体制では容易に

発覚するものではない旨主張するが、Kの詐取行為は、上記のとおり、

請求人におけるKの業務の管理部署が所要のチェックを行っていれば

発覚するものであったと認められるのであるから、請求人の主張には理由がない。

 

(争点2について)

Kがd工場資材課に配置されて以後退社するまで長期間にわたり

同課において職制上の重要な地位に従事したことがなかったこと及び

請求人の経理帳簿の作成等に携わる職務に従事したこともなかったこと、

また、本件取引が、K個人の私的費用を請求人から詐取するために

同人が独断でPに依頼して行ったものであり、当該隠ぺい、仮装行為が

請求人の認識の下に行われたとは認められないこと等を総合考慮すると、

請求人が取引内容の管理を怠り、請求人から隠ぺいするための

Kの仮装行為を発見できなかったことをもって、

当該行為を請求人自身の行為と同視することは相当ではない。

 

つまり、損害賠償請求権は損害の発生と同時に成立すると考えるが、

重加算税を課す要件となる請求人の行為と同視できない、としたのです。

 

従来の横領事案は、役員や経理担当者が行った事案でしたから、

会社の行為と同視されてきた事例がほとんどでしたが、

末端の従業員は会社の行為と同視しない、との判断ですから、

注目すべき事例の1つだと考えられます。

 

損害賠償請求権については、回収可能性のない一般従業員に対して

損害賠償請求権を行使しても、当該一般従業員が破産して終わり、

というケースが多いので、通説である同時両建説には違和感があります。

ただ、法律構成からは、損害賠償請求権の発生は損害が発生したときで、

回収可能性がないことが確定したときに貸倒損失が成立します。

何とかできないものでしょうかね。

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