人は弱いからちゃんとした人になれる【第2章-3】 - キャリアプラン全般 - 専門家プロファイル

松山 淳
アースシップ・コンサルティング コンサルタント/エグゼクティブ・カウンセラー
東京都
経営コンサルタント

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閲覧数順 2016年12月09日更新

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人は弱いからちゃんとした人になれる【第2章-3】

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部下へ贈る言葉の花束

人は弱いからちゃんとした人になれる【第2章-3】



 電車が駅に停まる。扉が開き、人が群れになってなだれこんできた。
 美咲は人の波に押され中村さんに寄りかかる。足を踏んでしまった。

 「あっ、すいません」
 「ああ」
 「大丈夫ですか」
 「大丈夫だよ」

 扉が閉まり、電車は動き出す。
 美咲は何かを話そうと思ったが、無言のままだ。 
 中村さんも、何も言わない。

 言葉が喉の奥に沈殿している。自己嫌悪が襲ってくる。親指の爪を噛み出す。

 美咲は口ベタだ。
 自分の思っていること、考えていることを、
 どうしてもうまく喋ることができない。

 書くことでならいくらでもできるのに・・・。
 だから、好きな人へ告白する時は、いつも手紙にまかせていた。

 そして、口べたは自分の最大の短所であり、
 気の弱い自分をかたちづくる原因だと固く信じていた。

 さっきだって苛立つオーナーを前にして「すいません」しか言えなかった。
 あんなに謝らなくてもいいのに。
 中村さんが来なかったら、どうなっていたのだろう。

 そう思うと「ありがとうございます」を言っていない自分に気づき、
 美咲は落ち着かなくなった。

 「あの、さっきはありがとうございました」
 「ああ、別にいいんだよ、謝るのは慣れてるから」
 「そうなんですか」
 「ああ、それでなんとかリストラされずに済んでいるからな。
  部長代理なんて、会社の中で俺だけだろ」
 「・・・・」
 「なに、美咲ちゃん、今、笑うところだよ」
 「えっ、すいません」

 電車はカーブにさしかかり、吊り革で懸命に身体を支えようとするが、
 横から迫る人に押され、どうしても中村さんに寄りかかってしまう。

 
*1
*1この物語はフィクションです。 登場する人物名・団体名等は実在のものと一切関係ありません。