事業承継と譲渡制限株式の譲渡承認請求に応じての取得 - 事業再生と承継・M&A全般 - 専門家プロファイル

村田 英幸
村田法律事務所 弁護士
東京都
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対象:事業再生と承継・M&A

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事業承継と譲渡制限株式の譲渡承認請求に応じての取得

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9 譲渡承認請求に応じての取得

(1)手続

譲渡制限株式の株主は,その有する譲渡制限株式を他人(当該譲渡制限株式を発行した株式会社を除きます)に譲り渡そうとするときは,当該株式会社に対し,当該他人が当該譲渡制限株式を取得することについて承認をするか否かの決定をすることを請求することができます(会社法136条)。

 これを受けた株式会社が承認をするか否かの決定をするには,株主総会普通決議(取締役会設置会社にあっては,取締役会決議)によらなければなりません(会社法139条1項,ただし,定款に別段の定め(例えば,承認機関を代表取締役とする。)をすることもできます(会社法139条1項但書)。

 そして,株式会社は,決定をしたときは,譲渡等承認請求者に対し,当該決定の内容を通知しなければなりません(会社法139条2項)。

 株式会社は,株主が株式会社に対しその株式を第三者に譲渡したい旨の承認請求を受けた場合において,株式会社がこの承認をしない旨の決定をしたときは,当該譲渡等承認請求に係る譲渡制限株式を買い取らなければなりません(会社法140条2項,309条2項1号)。譲渡承認等請求者は当該株主総会において議決権を行使することができません(会社法140条3項)。財源規制(461条1項1号)があります。

(2)メリット

会社と特定の株主が事前に合意しておき,その特定の株主から譲渡承認請求をしてもらえば,特定の株主との合意による取得の場合に問題となる売主追加請求権を事実上,排除することが可能になります。

(3)デメリット

会社による買受けができるのは譲渡制限株式のみです。そして,既存の株式を譲渡制限株式に変更する要件はその株式を有する株主総会の特殊決議になりますから,その変更のハードルは極めて高いといえます。そして,既存の株式を譲渡制限株式に変更を行う定款変更をする場合に,反対株主には株式買取請求権が認められています(会社法116条1項1号2号)。

また,株主から譲渡承認請求がなされない限り,会社はこれを買い受けることはできません。

 

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