ブルゴーニュの牛とは 1月の料理基礎講座にて - 料理教室 - 専門家プロファイル

塚本 有紀
フランス料理・製菓教室「アトリエ・イグレック」 主宰
大阪府
料理講師

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ブルゴーニュの牛とは 1月の料理基礎講座にて

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1月19日20日
料理基礎講座にて

野菜の具だくさんのスープ

今月は牛肉の赤ワイン煮込みブルゴーニュ風を作ります。これはプラ・ユニークplat uniqueといって、その料理だけで食事が構成できるもの(本来は前菜とメイン、そしてデザートへと続きます)。つまり前菜はいらないのですが、それではあまりに寂しいので、ひとまずスープをお出しします。寒い季節に野菜がいっぱいのスープは身体も心も温まり、元気のもととなる気がします。

さてブッフ・ブルギニヨンです。
牛肉の赤ワイン煮込みブルゴーニュ風とレシピには表記していますが、本来はずばり「Boeuf bourguignon」ブルゴーニュ風の牛肉! すごい題名です。
地方料理ですが、全土でもポピュラーな伝統家庭料理でもあるのです。
ブルゴーニュ地方はいわずと知れた美食の地。上等のワインは目白押しですし、シャロレー牛というおいしい牛肉も産するところです。

ちなみにフランス語には、英語のシチューに相当するような言葉はないと思います。さまざまな煮込み料理が存在するのにもかかわらず、です。それぞれの料理に別個の単語が存在するから、ないのでしょう。たとえば煮込みに近い料理法を表すものも、civet, ragout, braise,fricasse, estouffadeなどなど。落ち着いて考えたらもっとでてくるはずです。ブッフ・ブルギニヨンにいたっては、料理法を指す単語さえなく、「ブルゴーニュの牛」なのです。すごいなあ、と思います。たくさんの料理名が個々にあるのは、それだけ好きで注意を払っているということでしょう。日本ならさしずめ、魚が成長にしたがって名前を変えるようなものでしょうか。

さて煮込みには肩肉を使います。

これで国産牛の肩肉1kg分! 結構な迫力です。



比較対象のためにバラ肉も使います。500gの塊ですが、脂は落としてしまうので、かなり減ってしまいます。煮上がったお肉の味わいは肩よりもちょっとワイルドになりますが、脂が多い分だけ芳香を吸ってコクのある味に。両方とも好きです。


大きめのキューブに切ったお肉と香味野菜を、ブルゴーニュの赤ワイン(今回はAOCブルゴーニュに)に二晩浸けます。ブルゴーニュの地方料理ですから、マリネのワインも食事に添えるワインも、ブルゴーニュに。

二晩浸けると、けっこうおどろおどろしい色になります。



フライパンでしっかりと焼き目を付けます。
「この焼き加減が、今日のおいしさの鍵の1/3を握りますよ!」
と、私は生徒さんに小さいプレッシャーをかけます。


炒めた香味野菜とお肉、マリネに使った赤ワインなどで煮込んでいきます。

オーヴンで煮ること、1時間半。本当はもう少し煮たいところですが、お昼に間に合わなくなるので、ストップ。でも十分に柔らかい状態です。

ちょっとおどろおどろしい感じに






牛肉の赤ワイン煮込み、ブルゴーニュ風 Boeuf bourguignon
フォトジェニックではありませんが、味は抜群。ワインのこなれた芳香、野菜とお肉の旨味がぎゅっと閉じ込められた、滋味のある味わいです。ブルゴーニュの赤ワインの酸味が旨味の裏打ちをします。

初めての人にはちょっとクセがあるかなあ、と心配するのですが、最近はそんな心配は不要のようです。いろいろなものを幅広く召し上がっている方にとっては、たとえ初めての味でも、すんなりと受け入れやすい素地があるのです。素晴らしいことです。
私にとっては、冬になったら年に1回は食べたい味。今年も堪能しました。

さてデザートはこれまた地方菓子の

タルト・オ・シュークルtarte au sucre
直訳すると砂糖のタルトになってしまい、聞こえ(?)が悪いので、私は勝手にカソナードのタルトと訳しています。中に流し込む生地にはカソナードを使うからです。
リールを含む北のほうの地方Le nordのお菓子です。ものすごく素朴な味わい。
フローズンヨーグルトを添えてみました。

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