少額管財手続 - 事業再生と承継・M&A全般 - 専門家プロファイル

村田 英幸
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対象:事業再生と承継・M&A

村田 英幸
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閲覧数順 2017年02月22日更新

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少額管財手続

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債務整理

(ⅰ)同時破産手続廃止の問題点

 従来,消費者金融からの借入れによる多重債務者の個人破産事件について,同時破産手続廃止(破産法216条1項)による事件処理が多くなされていました。同時破産手続廃止とは,裁判所が,破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足すると認めるときに,破産手続開始の決定と同時に,破産手続廃止の決定を行うものです。破産手続は行われませんが,破産手続開始の決定を受けることによって,個人債務者は免責を求めることができるようになります。

しかし,個人破産事件の急増に伴い,審理が長期化し,これが同時に免責事件の長期化を招いていました。また,破産法249条制定前の旧破産法では,同時廃止決定確定後,免責審理中の強制執行等が禁止されていなかったため,消費者金融などの一部の債権者が,同時廃止の申立てに対して,破産者の給料債権の差押えを実行する事態が生じ,このことが,同時廃止事件,免責事件の手続進行を阻害するようになっていました。

 元々,同時破産手続廃止の場合,破産管財人が選任されず,破産開始決定後,破産管財人による否認権の行使などによって債権者間の不平等が是正されませんので,裁判所としても,より慎重な審理が求められていました。

(ⅱ)少額管財手続と即日面接制度の創設

 上述の同時廃止事件の問題点を解決すべく,平成11年4月から,東京地裁民事第20部(破産再生部)において,少額管財手続と即日面接制度の運用が開始されました。

 少額管財手続とは,財団収集業務がないか,または短期間でこれを終えることができると見込まれる代理人申立ての破産事件について,原則として20万円の予納金により破産管財人を選任して公正な清算を行う手続です(ただし,官報公告費用の予納金,予納郵便切手は別途必要です)。少額管財手続は,これまで最低50万円必要とされていた予納金を原則20万円として予納金の低額化を図る管財手続ですが,それと同時に,手続の簡素化と迅速化を図り,管財事件にかかる時間と費用に関する問題を少しでも解消することを目指して運用が開始された手続です。具体的には,①第1回債権者集会,債権調査期日,破産手続廃止に関する意見聴取のための債権者集会,任務終了による計算報告集会および免責審尋期日をできるだけ同一期日に開催すること(原則として集会は1回),②債権者集会での管財人の報告は口頭報告とし,報告書は財産目録のみとすること,③債権調査期日の認否は個別認否表は不要とし,総括認否表のみで行うこと,④破産財団の換価は,基本的に同時廃止事件と同様な運用で行うこと,⑤管財人の裁判所に対する許可申請を簡易化したこと,⑥配当を簡易な方法としたこと,などが実務上定着するようになっています。複雑な事件などを除いて,破産手続開始後3か月程度で手続の終結が見込まれています。

 即日面接制度とは,代理人がついて同時廃止の申立てをした破産事件につき,申立ての当日またはその後3日以内の日に裁判官と代理人が面接し,代理人の調査に問題がないと認められる場合には,面接の当日,直ちに破産手続開始と同時廃止決定をする手続です。即日面接して,迅速に(東京地裁の場合,破産申立ての翌週以内)破産管財人を選任しています。

 少額管財手続と即日面接制度によって,裁判所は,代理人の申立てによる破産事件に関し,申立て後速やかに,同時廃止事件か管財事件に振り分けられるようになり,破産事件の早期処理が可能となりました。

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