住宅メーカーの中に、構造材まで「桧・米松・ホワイトウッドから選んでください」と云うメーカーがあるそうです。
一見すれば、使用する材料を選択出来る自由があるのは、希望通りの家が建てられる反面、建てる専門家として無責任でもあります。「自由に選択出来ます。」と云われても素人さんにはどれが良いか判らないのが正直なところでしょう。
私が建築の素人で、構造材の選定まで客任せにされたのなら、逆に工務店に構造材の選択を委ね、派生した問題(耐久性・耐震性・仕上げ面に対する影響等)全ての責任を工務店に取ってもらいます。
ヤング係数が幾らで圧縮強度が幾らで、経年劣化の特性はこうで、反り捩れにたいする功罪を比較すればこうで云々と。材料の性能を客観的に判断出来るようになるには、仕事として専門的に住宅設計をしていなければ身に付きません。
また、突き詰めて考えて行けば、どの様な材料が構造材として適しているかは、建物の工法と、内外装の仕上げ。建設される地域の特性や環境を総合的に判断しなければ、どれがベストマッチなのかは判断出来ません。
建物に使う材料には必ず長所短所があります。長所ばかりで短所が無ければ、その材料ばかりが使われ、品不足になり材料価格が高騰すると言う短所が発生します。結局のところ信頼出来る建築の専門家(営業マンのセールストークではありません)に建設予定地を見せて、どの様な家にしたいのか説明しなければ、判断出来ないでしょう。
もっと構造材にこだわるなら、一つの建物でも、結露や湿気が気になる部位にはこの材料。下地の暴れを警戒する位置にはこの材料と場所別に吟味しても良いかと思います。
建築は多くの材料を組み合わせて造っていくものですので、一つの材料の短所を他の材料で補って結果的に一定の性能を図ると云った造り方をして行きます。
ですので、一般論で良いと云われる材料ばかりを集めても、運悪くどの材料同士でも短所を補い切れなければ、値段の高い建物で、しかも性能が悪い欠陥だらけの建物になってしまう事も有り得ます。
住宅メーカーや工務店さんと契約したけど、材料選定や構造・工法等でお悩みの方がいらっしゃれば、客観的な視点に立ってアドバイス致します。
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このコラムの執筆専門家
![福味 健治](https://d32372aj5dwogw.cloudfront.net/home/profile/front/html/img/professional/ll/1324394656.jpg)
- 福味 健治
- (大阪府 / 建築家)
- 岡田一級建築士事務所
木造住宅が得意な建築家。
建築基準法だけでは、家の健全性は担保されません。木造住宅は伝統的に勘や経験で建てらていますが、昨今の地震被害は構造計算を無視している事が大きく影響しています。弊社は木造住宅も構造計算を行って設計しています。免震住宅も手掛けています。
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