高橋源一郎さんの講義で紹介されたスーザン・ソンタグの遺言 - 対人力・コミュニケーションスキル - 専門家プロファイル

鈴木 達也
ヒューマン・コミュニケーション・センター 代表
東京都
ビジネススキル講師

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対象:ビジネススキル

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高橋源一郎さんの講義で紹介されたスーザン・ソンタグの遺言

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作家の高橋源一郎さんが明治学院大学で行った言語表現法講義が


「13日間で名文を書けるようになる方法」

という本になっています。

高橋さんは初日の冒頭にスーザン・ソンタグの文章を朗読します。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

人の生き方はその人の心の傾注(アテンション)がいかに形成され、また歪められてきたかの軌跡で

す。注意力(アテンション)の形成は教育の、また文化そのもののまごうかたなきあらわれです。人は

つねに成長します。注意力を増大させ高めるものは、人が異質なものごとに対して示す礼節です。新し

い刺激を受けとめること、挑戦を受けることに一生懸命になってください。

検閲を警戒すること。しかし忘れないこと──社会においても個々人の生活においてももっとも強力

で深層にひそむ検閲は、【自己】検閲です。


本をたくさん読んでください。本には何か大きなもの、歓喜を呼び起こすもの、あるいは自分を深め

てくれるものが詰まっています。その期待を持続すること。二度読む価値のない本は、読む価値はあり

ません(ちなみに、これは映画についても言えることです)。


言語のスラム街に沈み込まないよう気をつけること。


言葉が指し示す具体的な、生きられた現実を想像するよう努力してください。たとえば、「戦争」と

いうような言葉。


自分自身について、あるいは自分が欲すること、必要とすること、失望していることについて考える

のは、なるべくしないこと。自分についてはまったく、または、少なくとももてる時間のうち半分は、

考えないこと。


 動き回ってください。旅をすること。しばらくのあいだ、よその国に住むこと。けっして旅すること

をやめないこと。もしはるか遠くまで行くことができないなら、その場合は、自分自身を脱却できる場

所により深く入り込んでいくこと。時間は消えていくものだとしても、場所はいつでもそこにあります

。場所が時間の埋めあわせをしてくれます。たとえば、庭は、過去はもはや重荷ではないという感情を

呼び覚ましてくれます。


 この社会では商業が支配的な活動に、金儲けが支配的な基準になっています。商業に対抗する、ある

いは商業を意に介さない思想と実践的な行動のための場所を維持するようにしてください。みずから欲

するなら、私たちひとりひとりは、小さなかたちではあれ、この社会の浅薄で心が欠如したものごとに

対して拮抗する力になることができます。


 暴力を嫌悪すること。国家の虚飾と自己愛を嫌悪すること。


 少なくとも一日一回は、もし自分が、旅券を【もたず】、冷蔵庫と電話のある住居を【もたない】で

この地球上に生き、飛行機に一度も乗ったことの【ない】、膨大で圧倒的な数の人々の一員だったら、

と想像してみてください。


 自国の政府のあらゆる主張にきわめて懐疑的であるべきです。ほかの諸国の政府に対しても、同じよ

うに懐疑的であること。


 恐れないことは難しいことです。ならば、いまよりは恐れを軽減すること。


 自分の感情を押し殺すためでないかぎりは、おおいに笑うのは良いことです。


 他者に庇護されたり、見下されたりする、そういう関係を許してはなりません──女性の場合は、い

まも今後も一生をつうじてそういうことがあり得ます。屈辱をはねのけること。卑劣な男は叱りつけて

やりなさい。


 傾注すること。注意を向ける、それがすべての核心です。眼前にあることをできるかぎり自分のなか

に取り込むこと。そして、自分に課された何らかの義務のしんどさに負け、みずからの生を狭めてはな

りません。


 傾注は生命力です。それはあなたと他者をつなぐものです。それはあなたを生き生きとさせます。い

つまでも生き生きとしてください。


 良心の領界を守ってください……。


★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


高橋さんはこれを読み上げた後、学生たちに窓の外の桜を眺めるように言います。


「すぐ横に、そんなにも美しいものがあるのに、活字ばかり追いかけていてはいけません。


読んだものは忘れて、見ることに、傾注してください。」



スーザン・ソンタグはこれを文章を書いた10ヶ月後に白血病で亡くなりました。



ソンタグの文章にも高橋さんの授業にも心打たれました。



私が学んできたり教えてきたりしていることと近く、深く納得しました。


特に


「社会においても個々人の生活においてももっとも強力で深層にひそむ検閲は【自己】検閲です」


を心に留めておきたいです。



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