ただ聴く、だけの素晴らしさ - ビジネスコーチング - 専門家プロファイル

西田 淑子
サクセスインサイド・コミュニケーション 代表・コミュニケーショントレーナー
大阪府
ビジネスコーチ

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閲覧数順 2024年04月23日更新

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ただ聴く、だけの素晴らしさ

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スーパーの米売り場のところにいたおばちゃん、その横を通ったとき、声を掛けられました。
「ちょっと、お姉ちゃん、どこ米がいいやろか」
ついうっかり「どんな米がいいと思うの?」と質問返事をしてしまいました。
すると、そのおばちゃん、
「高いほうの米は美味しいけど、食べ過ぎるから困る、安いほうの米は~」と話しました。そこでまた、ついうっかり「食べ過ぎるって誰が?」、なんてことを聞いてしまっていました。

それで、おばちゃんは、自分の家族に対する悩みを話し出して、止まらなくなってしまいました。私は買い物のついでの、ちょっと立ち話のつもり、しかもスーパーの米売り場で、初対面のおばちゃんです。ついうっかり質問してしまったので、30分くらいは付き合っても仕方がないなあ、と思い、話を聞いていました。

おばちゃんの話は止まりません。どころか「もう生きてても仕方がない」とまで言い出して、ほとんど下を向いて、肩は落ちて声は沈んでいます。今の家族に対する悩みから、歴史はだんだん遡り、お嫁に来たときの話までになりました。一体どこまで遡るのやろう、と思いつつ、相槌を打ちながら聞いていると、立ち話で30分も経っていました。時間は気になったけど、それより、おばちゃんの話は、おばちゃんの人生のどこまで遡って、どこで折り返すのか、というほうが気になったので、そのまま聞いていることにしました。小さい子供の頃の話までいったとき、そこで話は折り返して、だんだんまた現在まで戻ってきました。これで1時間。現在まで来たからもう良いかなあ、と思い、一度、「それではそろそろ」と、立ち話の終了をほのめかしてみましたが、それには、おばちゃんは、全く乗ってきません。じゃあ、次に何を話したいのか、とまた気になり聞いていると、今度は、「息子が食べ過ぎることは気になるけど、元気でこれまで来れたのはありがたい」と、ポジティブなことを言い出しました。この1時間以上、私はほとんど、単に相槌を打っていただけです。それから、ほんのしばらく、おばちゃんの話の内容は、未来のことについてでした。少々しゃべった後、おばちゃんは笑顔で「それじゃあ」と、10キロの米袋をヒョイっと担いで、レジにいきました。これで1時間半です。

最初は、どの米を買うのかと悩んでいて、話を聞きだすと、家族の悩みになり、それでも単に聞いているだけで、おばちゃんは自分で答えを探しだし、未来に生きる希望を見つけ、笑顔で何の躊躇もなく、米を買って帰りました。

何の評価もなく、何のアドバイスもなく、単に話を聴いてもらうだけで、自分で答えを探し出し、希望を見つけ出すことが出来ます。

後日、そのおばちゃんを、同じスーパーで見かけました。おそらく知り合いでしょう。楽しそうにしゃべっていました。

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