- 森 滋昭
- 森公認会計士事務所 公認会計士・税理士
- 東京都
- 公認会計士・税理士
-
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対象:財務・資金調達
こんにちは、東京港区の公認会計士 森 滋昭です。
日本公認会計士協会が、上場企業593社からアンケートを取った「組織(企業)内会計士に関するアンケート最終報報告書」を公表しました。
1.社内に会計専門家が必要か?
「社内に会計専門家が必要か?」、という質問に対し、
回答は、
・外部専門家を利用するので不要: 59%
・社内に必要: 23%
・必要性は特に感じない: 9%
・社内の人材育成で十分なため不要: 3%
という結果です。
つまり、8割の方は、会計専門家は不要、と答えています。
そもそも、”普通の会社”にとって経理は定型業務。
経理部の頭を、特に悩ませるのは、
・会計基準の改正のうち、自社にあてはまる時や、
・たまに発生するイレギュラーな取引が起きた時に、
監査法人に相談すれば十分対応できる、というのが現実ではないでしょうか。
ただし、監査法人にいると、常にすべての改正事項をアップデートし、各社から非定形的な取引だけを相談され、結構大変です。
では、具体的に、企業の側からの会計専門家を必要とする分野としては、アンケートでは、
・国際会計基準(IFRS)の導入
・個別決算・開示業務
・海外を含む連結決算
といった、難しい会計に関する業務について会計士へのニーズが挙げられています。
もちろん、こうした難しい経理処理や、IFRS導入のような特殊プロジェクトについて、会計士のニーズが全くない訳ではありません。
一方、監査法人に所属する会計士の希望する部署は、
・経理部: 64%
・企画部: 57%
・資金・財務部: 49%
・内部監査等: 35%
となっています。
本当の転職活動ではなく、複数回答ということもあり、経理部以外の企画部等、幅広希望となっています。
就職浪人の増える中、企業内会計士を増やしたい会計士協会では、「企業と会計士の間にある意識のギャップを解消することが課題」としています。
私自身、企業内会計士として販売企画部で働いていた経験もあり、
・会計士は計数管理に強く、
・簿記や税務の知識があり (ビジネスで簿記の知識は大切です)
・企業の全体像を知っていることから、
一般企業で働く際、経理に限らず、活躍できる場は大きいと思います。
実際、あるコンサルタント会社の役員の方も、以前、「会計士出身コンサルタントは、他の士業出身のコンサルタントより、ビジネスセンスがあり、コンサルタントとして成長する人が多い」、とも言っていました。
2.希望年俸
ただし、現状では、企業側が採用したいのは、実務経験3~5年のシニア層で、
希望採用年俸は、
・年俸 500万以下: 4割
・年俸 750万円以下:5割
と、9割の会社が、750万円以下を希望しています。
一方、監査法人のシニアの希望年俸は
・年俸 1000万円以下:4割
・年俸 1500万円以下:2割
つまり、6割の方が、750万円~1500万円を希望しています。
企業側と公認会計士側で、希望年俸について大きなギャップがあります。
レポートでは、転職活動は年俸だけではない、と書かれています。
しかし、実際企業内会計士が増えない理由の一つとして、ここの差は大きい気がします。
ただし、先ほど書いたように、一般企業で働く際に、経理部では監査法人ほど難しい経理処理が多い訳ではありません。
また、経理部以外の企画部等で働く場合は、公認会計士という資格は関係ありません。
そういう意味では、公認会計士が、“高度な会計専門家”としての能力を、給与に反映することができるほどの活躍の場は、必ずしも”普通の一般企業”には、それほど多くはないかもしれません。
逆に、ニーズがあるところで、周りに会計士がいなければ差別化されて、強みを十分に発揮できると思います。
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このコラムの執筆専門家
- 森 滋昭
- (東京都 / 公認会計士・税理士)
- 森公認会計士事務所 公認会計士・税理士
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監査・税務・ビジネス、”3つのキャリア”で、約20年。 その間、いつも「決算書の数字の奥にあるものをみる!」感覚を研ぎ澄ましてきました。 だから・・・ベンチャーから上場企業まで、あなたの会社の、一番の社外サポーターに!
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