米国特許判例紹介:先行技術の提出と不正行為(第7回) - 特許・商標・著作権全般 - 専門家プロファイル

河野 英仁
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米国特許判例紹介:先行技術の提出と不正行為(第7回)

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米国特許判例紹介:先行技術の提出と不正行為(第7回)

~IDS提出基準の大幅見直しへ~

     Therasense, Inc., et al.,

               Plaintiffs Appellants,

           v.

  Becton, Dickinson and Company, et al.,

               Defendants- Appellees.

河野特許事務所 2011年9月12日 執筆者:弁理士  河野 英仁

5.結論

 CAFC大法廷は、不正行為についての地裁の判断を無効とし、本判決に従ったさらなる審理を行うよう命じた。

  

6.コメント

 本判決により、意図及び重要性の要件が共に大幅に引き上げられたため、不正行為を抗弁とする主張は今後困難になると思われる。また本判決を受けてUSPTOは分析の上、IDSに関する新たなガイドラインを策定するとアナウンスした。特に規則1.56は今後依拠してはならないことから注意が必要である。

 実務上PTOに書類を提出するか否かは、仮定重要性基準に基づき判断することとなる。しかしこの基準も簡単に言えば、「仮に提出していたのであれば、クレームが無効となるものを提出する」であり、当該基準下でも的確な判断は難しい。関連性が低い先行技術であっても、提出すれば他の有力な先行技術との組み合わせで非自明、無効と判断される可能性もある。従って本判決以降の実務においても慎重に提出すべき書類か否かを判断しなければならない点に変わりはない。

判決 2011年5月25日

以上

【関連事項】

判決の全文は連邦巡回控訴裁判所のホームページから閲覧することができる[PDFファイル]。

http://www.cafc.uscourts.gov/images/stories/opinions-orders/08-1511.pdf

 

【参考】

規則1.56 特許性に関する重要情報の開示義務

(a) 特許は本質的に,公共の利益によって影響を受ける。出願が審査されるときに,特許商標庁が特許性に関する全ての重要情報を知り,その教訓を評価する場合に,公共の利益は最大に満たされ,最も有効な特許審査が生じる。特許出願の提出又は手続の遂行に関与する各個人は,特許商標庁に対する折衝において率直及び誠実の義務を負い,その義務は,当該人に知られている,本条において定義される特許性にとって重要な全ての情報を開示する義務を含む。情報開示義務は,係属している各クレームに関し,そのクレームが取り消されるか,考慮の対象から取り下げられるか,又はその出願が放棄されるまで存在する。取り消された又は考慮の対象から取り下げられたクレームの特許性に関する重要情報は,その情報が出願の中の考慮の対象として残っているクレームの特許性にとって重要でないときは,提出する必要がない。現存するクレームの特許性にとって重要でない情報を提出する義務はない。特許性にとって重要であると知られている情報の全てを開示する義務は,特許として発行されたクレームの特許性にとって重要であると知られている情報の全てが特許商標庁によって引用されていたか,又は§1.97(b)から(d)まで及び§1.98 によって規定されている方式で特許商標庁に提出されていた場合は,満たされているとみなす。ただし,出願に関連して,特許商標庁に対する詐欺行為が実行された若しくは企てられた,又は悪意若しくは故意の違法行為によって開示義務違反が行われた場合は,その出願には特許は付与されないものとする。

特許商標庁は出願人に対し,次に掲げる事項を慎重に検査することを奨励する。

(1) 対応出願に関する外国特許庁の調査報告に引用されている先行技術,及び

(2) 特許出願の提出又はその手続の遂行に関与する個人が,係属しているクレームの特許性を明確にすると考える詳細な情報について,それに含まれている重要情報が特許商標庁に開示されることを確実にすること

(b) 本条においては,情報は,その情報がその出願に関して既に記録されている又は記録されようとしている情報に累積されるものでなく,かつ,次に掲げる条件に該当しているときは,特許性にとって重要である。

(1) その情報が,それ自体又は他の情報との組合せによって,クレームの不特許性に関する一応の証拠がある事件であることを立証する場合,又は

(2) その情報が,出願人が次に掲げる行為においてとっている立場を反駁するか又はそれと矛盾する場合

(i) 特許商標庁が依拠する不特許性の意見に異議を申し立てること,又は

(ii) 特許性の意見を主張すること

不特許性についての一応の証拠がある事件であることは,クレームの各用語に明細書に合致する最も広い合理的解釈を与え,かつ,特許性に関する反対の結論を証明するために提出することができる証拠を考慮する前に,情報が証拠の優越,立証責任基準に基づいて,クレームが特許性を有さない旨の結論を強いるとき,立証される。

(c) 本条の意味においては,特許出願の提出又は手続の遂行に関与する個人とは,次に掲げる者のことである。

(1) 出願に名称が記載されている全ての発明者

(2) 出願の作成又は手続を遂行する全ての弁護士又は代理人,及び

(3) 上記以外の,出願の作成又は手続の遂行に実質的に関与している,及び発明者,譲受人,若しくは出願譲渡義務の対象である者に関係している他の全ての者

(d) 弁護士,代理人又は発明者以外の個人は,情報を弁護士,代理人又は発明者に開示することによって本条を満たすことができる。

(e) 一部継続出願の場合は,本条に基づく義務は,(b)において特許性にとって重要であると定義されており,該当する者に知られている情報であって,先の出願の出願日と一部継続出願に係る国内又はPCT 国際出願日の間に入手することができたものの全てを特許商標庁に開示する義務を含む。

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