糖尿病や脂質異常症などのいわゆる「メタボリック症候群」が急増していることを受け、巷には様々な健康法が流行しています。ある物は炭水化物を制限しタンパク質を多く摂るように勧めており、またある物は脂質を制限して逆に炭水化物の摂取を推奨しています。また別の物は厳格なカロリー制限を求めているかと思えば、他の物は一切制限せず、ある特定の食材やサプリメントの摂取を条件づけています。このように様々な食事法やダイエット法がありますが、一体どれを選べば良いのでしょうか。
各種食事法と並行して、世の中には実にたくさんの健康食品やサプリメント、また健康に良いこと謳った食品が出回っています。ビタミンやミネラル、アミノ酸などを詰め込んだ錠剤やカプセル、健康上の効能のある栄養成分が豊富だという健康食品だけでなく、一般的な食品であるパンやお菓子、砂糖、油脂、塩、各種調味料などの分野でも、「コレステロールを下げる」とか「糖分をカット」とかいった説明で、健康に良いことをアピールする商品が無数に市場に出されています。
そのように健康に関する市民の関心は、従来に比べて高くなってきているように見受けられますが、実際のところ日本人は健康になっているのでしょうか。残念なことに統計の上でも、また多くの人の実感の上でも、その答えは「No」というのが現状です。すなわちガンの患者数はうなぎ上りで、今や国民の3人に1人はガンで亡くなる時代です。また上記のメタボリック症候群は、厚労省や健保組合を含めての撲滅運動も空しく、患者やその予備軍は増加する一方です。
さらにアトピーやぜんそく、花粉症といったアレルギー疾患の猛威はおさまる兆しがありません。これらの疾患はほんの50年前にはあまり一般的ではなかった病気です。それだけでなく、うつ病やパニック障害、不眠症など精神疾患の急増には戦慄を覚えるほどです。10年以上連続で3万人を超える自殺者のうち、9割以上は何らかの精神疾患に罹っているといわれます。精神疾患はその急増ぶりから、ガンや糖尿病などと並んで「5大疾患」の一つにこのほど認定されました。
今は特に病気にかかっていない人でも、体調が常に万全で、自信を持って「健康です!」と胸を張れるような人は少ないのではないでしょうか。企業などの健康診断でも、検査データには特に異常がないのにいつも体調が悪い、という人が列をなしています。通勤電車内でも、朝だというのに疲れた表情をして生気のないビジネスマンや学生が目立ちます。7人がけの椅子のうち、平均4~5人くらい眠っています。そのように国民の体調が押しなべて良くないのは、どのような事情によるのでしょうか。
そのように病気の人が多く、また病気ではないが体調の悪い「半病人」の人が多い最大の理由は、やはり「食事」にあると考えられます。ストレスなどが原因とされる精神疾患でさえ、近年では食生活との深い関連性が叫ばれています。従って生活習慣病や精神疾患を含む病気の治療や予防、また健康一般の増進のためには、何よりも食生活の改善、充実が必要だといえますが、現状の食生活にはどのような問題点があり、どのように改善していけば良いのでしょうか・・(続く)
このコラムの執筆専門家
- 吉野 真人
- (東京都 / 医師)
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病気を治したり予防するにあたり、いちばん大切なのは、ご本人の自然治癒力です。メンタルヘルスを軸に、食生活の改善、体温の維持・細胞活性化などのアプローチを複合的に組み合わせて自然治癒力を向上させ、心と身体の両方の健康状態を回復へと導きます。
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