A&M通信~第19回 計画停電時の休業手当~ - 就業規則作成・見直し - 専門家プロファイル

中山 幹男
株式会社A&Mコンサルト 代表取締役
大阪府
経営コンサルタント

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対象:人事労務・組織

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A&M通信~第19回 計画停電時の休業手当~

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1.計画停電時の休業手当

 東北地方太平洋沖地震で被害に遭われた方々にお見舞い申し上げるとともに、亡くなられた方々に心からお悔やみ申しあげます。一刻も早い復旧を心からお祈り申しあげます。

 震災後、関東・東北地方では深刻な電力不足により計画停電が行われていますが、これにより休業した場合の賃金について、厚生労働省は行政通達「計画停電時の休業手当について」を発出しました。以下に抜粋転載します。

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計画停電が実施される場合の労働基準法第26条の取り扱いについて

 今般、平成23年東北地方太平洋沖地震により電力会社の電力供給設備に大きな被害が出ていること等から、不測の大規模停電を防止するため、電力会社において地域ごとの計画停電が行われている。この場合における局長通達の取り扱いは下記のとおりであるので、了知されたい。

1 計画停電の時間における事業場に電力が供給されないことを理由とする休業については、原則として法第26条の使用者の責めに帰すべき事由による休業には該当しないこと。

2 計画停電の時間帯以外の時間帯の休業は、原則として法第26条の使用者の責めに帰すべき事由による休業に該当すること。ただし、計画停電が実施される日において、計画停電の時間帯以外の時間帯を含めて休業とする場合であって、他の手段の可能性、使用者としての休業回避のための具体的努力等を総合的に勘案し、計画停電の時間帯のみを休業とすることが企業の経営上著しく不適当と認められるときには、計画停電の時間帯以外の時間帯を含めて原則として法第26条の使用者の責めに帰すべき事由による休業には該当しないこと。

3 計画停電が予定されていたため休業としたが、実際には計画停電が実施されなかった場合については、計画停電の予定、その変更の内容やそれが公表された時期を踏まえ、上記1及び2に基づき判断すること。

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  計画停電が実施されると多くの工場や営業所で操業・営業を停止することになり、従業員に対して休業を命じざるを得ませんが、その場合、当該休業時間中において労基法上の休業手当の支払義務の問題が発生します。

労基法第26条では、「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない」と定められており、例えば、生産調整のための一時帰休や監督官庁の勧告による操業停止の場合は休業手当を支払わなければなりません。ただし、天災事変等の不可抗力の場合は使用者の責に帰すべき事由に該当せず、休業手当の支払義務はありません。

この問題について上記通達では、まず第1項で、計画停電が実施されている時間帯の休業は会社の不可抗力の事由による休業であり、労基法第26条の「使用者の責めに帰すべき事由による休業」に該当せず、休業手当の支払義務はないと明言しています。

 一方、計画停電が実施されている前後の時間帯を含めて休業した場合については、第2項で、計画停電の時間帯以外の休業は原則として休業手当の支払義務があるとしていますが、例外として「計画停電の時間帯のみを休業とすることが企業の経営上著しく不適当と認められるとき」には、他の時間帯を含めて休業手当の支払義務はないとしています。どのような場合がこの例外事由に該当するのかは、「他の手段の可能性、使用者としての休業回避のための具体的努力等を総合的に勘案する」としています。

 なお、第3項では、予定されていた計画停電が実際には実施されなかった場合について、「計画停電の予定、その変更の内容やそれが公表された時期」を踏まえて上記に基づき判断することとしています。計画停電の実施、未実施の公表があまりに切迫しているここ数日のような場合は、休業手当の支払義務は発生しないと思われます。

以上は、あくまでも法律論と行政通達の解説です。会社の状況や経済的体力に応じて、また労使の話し合いによって給料や休業手当を支給することについて何ら問題はありません。むしろ法律論や行政通達に固執せず、労使で協力し合ってその会社独自の解決策を見出すことが本来の労務管理です。

2.地震被害時の雇用調整助成金(中小企業緊急雇用安定助成金を含む)の活用

 厚生労働省は3月18日、事業を縮小する事業主に休業手当の一部を助成する雇用調整助成金(中小企業緊急雇用安定助成金を含む)について、東北地方太平洋沖地震の影響を受けて事業を縮小する事業主も利用できると発表しました。雇用を確保し、一刻も早く事業活動を再開させるためにも受給を検討されてはいかがでしょうか。

 1)雇用調整助成金とは

雇用調整助成金(中小企業緊急雇用安定助成金を含む)とは、経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、従業員の雇用を維持するために一時的に休業等を行った場合、当該休業等に係る休業手当相当額等の一部(中小企業で原則8割)を助成する制度。東北地方太平洋沖地震被害に伴う「経済上の理由」で事業活動が縮小した場合についても利用可能。ただし、今回の地震を直接的な理由(避難勧告・避難指示など法令上の制限を理由とするもの等)とした事業活動の縮小については、「経済上の理由」に該当しないため対象外。

 2)具体的な活用事例

・交通手段の途絶により、従業員が出勤できない、原材料の入手や製品の搬出ができない、来客がない等のため事業活動が縮小した場合。

・事業所、設備等が損壊し、修理業者の手配や部品の調達が困難なため早期の修復が不可能であり生産量が減少した場合。

・避難指示など法令上の制限が解除された後においても、風評被害により観光客が減少したり、農産物の売り上げが減少した場合。

・計画停電の実施を受けて、事業活動が縮小した場合。

 3)主な支給要件

・最近3か月の生産量、売上高等がその直前の3か月又は前年同期と比べ5%以上減少している雇用保険適用事業所の事業主であること。

・青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県のうち災害救助法適用地域に所在する事業所の場合、今回の地震に伴う経済上の理由により最近1か月の生産量、売上高等がその直前の1か月又は前年同期と比べ5%以上減少していれば対象となる。

(専門コンサルタント・中山幹男/専門コンサルタント 社会保険労務士 多田羅秀之)

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