- 塚本 有紀
- フランス料理・製菓教室「アトリエ・イグレック」 主宰
- 大阪府
- 料理講師
対象:料理・クッキング
- 黄 惠子
- (料理講師)
さて前回に引き続き、秋のパリ、「サロン・ド・ショコラ」の話題をお届けします。
今回でもう16回を数える「サロン・ド・ショコラ」は、ポルト・ド・ヴェルサイユにあるエキスポ会場で行われます。大きめの体育館くらいの会場に、フランス全土からぎっしりとチョコレート屋さんが集まる秋の一大祭典です。私が行った日曜日には、ピエール・マルコリーニやクリストフ・フェルデールがデモを行っていました(どちらもいい男さんなので、目の保養に!)。しかしそれはそれは、ものすごい人出です。
おもしろかったところからご紹介しましょう。まずは「フュレ・タンラッドFuret Tanrade」のマリファナ入りのガナッシュで作られたボンボンです。もちろん合法のものだと日本人の職人さんが説明してくれました。抽出された香りは、少し葉巻のようでもあり、悪くない香りです。 牛肉で有名なオーブラックAubrac地方からは、ココアのリモナード。少し甘ったるい香りがしますが、その上質さを感じ、おもしろいものでした。ココアのコニャックは意外にも、甘さよりも、酸味が際立ちます。もちろんとてもいい香り!
ジャン・シャルル・ロシューさんJean-Charles Rochouxが会場に来ていて、新製品のカルーゼルcarrouselの実演を行っていました。これはチョコレートとプラリネを、チーズの「テット・ド・モワンヌ」の形に作り、くるんと花びら型に削って食べるもの。そのアイデアも素敵ですが、上質なプラリネの味わいはさすがに上等のチョコレート屋さんのもの。24ユーロですから、ちょっとしたおみやげに喜ばれそうです。
ギモーヴ(マシュマロ)が大人気ですが、日本のように小さい固まりではありません。40cmくらいの棒状に長く作り(つまりカットせずそのまま)、どっぷりチョコレートに浸けたものがブースいっぱいに山積みになっています。いったい誰が買うのでしょう!?と思うそばから、どんどん売れていきます。
キャラメル・ブール・サレで有名な「ル・ルーLe Roux」さんのブースでは、「マダガスカルMadagascar」産のカカオを使ったガナッシュのボンボンが秀逸でした。非常に繊細で上品、かつはっきりした個性が感じられます。「ほんの少しの柑橘と黒い果物の香り」とはこのチョコレートに付けられた説明。
一番おいしかったのは、「ニュートゥリーNEWTREE」というベルギーの会社のタブレット。シナモン、生姜、ミント、カシス、ラベンダー、ピンク胡椒などの香りが付けられています。といってもすべては天然素材でなりたち、その味わいは非常に繊細ですっきり。人工香料の製品は私は食べられませんが、これはなんと素敵な味わいでしょうか。日頃苦手なラベンダー味を「なんておいしいの!」とさえ思ってしまいました。天然だからといって(人工にくらべて)ただ上品で棘がないというのではなくて、制作者が光る目をして「こんなのも作ってみたけど、どう?」とでも言いたげな姿勢も感じられ、端から買い占めたい衝動に駆られました。パッケージもとてもシンプル、スタイリッシュです。日本にも子会社があるようなので、買えるのかも(ぜひ買いたい!) http://www.newtree.com/
もちろん有名どころのボワシエBoissier、ア・ラ・メール・ド・ファミーユa la mere de famille、青木さんのお店、日本のメリーチョコレート、マゼMazetやプラリュPralusなどなど他にも盛りだくさんです。炊飯ジャーくらいの大きさのパン・デピス(スパイスがたくさん入った、パンというよりもお菓子)の並ぶさまは壮観です。
もっと詳しくはブログにて。
本当にチョコレートがおいしい時期になりました。サロン・ド・ショコラに行った日から、今年もすでに毎日チョコなしではいられない中毒な身体になってしまいました・・。これは来年の真夏の始まる日まで続きます。
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