米国特許判例紹介:ソフトウェア特許に対する共同侵害(第2回) - 特許 - 専門家プロファイル

河野 英仁
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米国特許判例紹介:ソフトウェア特許に対する共同侵害(第2回)

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米国特許判例紹介:ソフトウェア特許に対する共同侵害 (第2回)
~黒幕が管理・指示を与えたか否か~

     Golden Hour Data Systems, Inc.,
           Plaintiff-Appellant,
                 v.
        emsCharts, Inc., et al.,
       Defendant-Cross Appellants.

 
河野特許事務所 2010年11月26日 執筆者:弁理士  河野 英仁

 (3)被告のソフトウェア
 emsCharts(以下、C社)はemsChartsと呼ばれるウェブベースの医療記録プログラムを製造している。C社のプログラムは患者情報を記憶し、統合された請求を行う。一方Softtech(以下、S社)はフライト情報(患者の送迎及びフライトの追跡情報等)を統合するフライトベクターと称するコンピュータ支援フライト派遣ソフトウェアを製造している。

 2社はこれら2つのプログラムを同時に動作させるべく戦略的パートナーシップを形成し、これら2つのプログラムを一つのユニットとして販売するようコラボレートした。

(4)訴訟の開始
 2006年9月原告は、C社及びS社が073特許を侵害するとしてテキサス州連邦地方裁判所へ提訴した。原告は、C社及びS社がクレーム1,6-8、15-22を共同で侵害していると主張した。陪審員は、C社及びS社は共同でクレーム1,6-8,15-22を侵害していると判断し、350万ドル(約3億円)を支払うべき評決をなした。

 しかしながら地裁はC社がなしたJMOL(Judgment as a matter of law:陪審員の評決とは異なる判決)の申立を認め、C社及びS社による共同侵害には該当しないとの判決*3をなした。原告はこれを不服としてCAFCへ控訴した。


3.CAFCでの争点
C社のS社に対する管理または指示があったか否か
 複数当事者の組み合わせによる行動が方法クレームの侵害であると主張するためには、特許権者は、一の当事者が全体の方法を実施する上で他の当事者を「管理control」または「指示direction」していることを証明しなければならない。すなわち、一の当事者が黒幕であることを立証しなければならない*4。本事件においてはC社がS社を管理または指示する関係にあったか否かが争点となった。


4.CAFCの判断
C社がS社を管理または指示していたとはいえない
 CAFCは、C社がS社を管理または指示する関係にあったとはいえず、共同侵害は成立しないと判断した。

 共同侵害の成立要件としての「管理または指示」要件は2007年のBMC事件*5において判示された。以下BMC事件の概要を説明する。

(1)BMC事件
 BMC事件で問題となった特許はU.S. Patent No. 5,870,456(456特許)である。これらは暗証番号を入力することなく、金融決済を可能とするビジネスモデル特許である。参考図2は298特許の決済システムを示す説明図である。


参考図2 298特許の決済システムを示す説明図

(第3回へ続く)

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