- 中山 幹男
- 株式会社A&Mコンサルト 代表取締役
- 大阪府
- 経営コンサルタント
対象:経営コンサルティング
- 戸村 智憲
- (経営コンサルタント ジャーナリスト 講師)
先月、低コスト経営時代に勝ち残る「業務改善とIT活用によるコスト削減の具体策」というテーマで、情報システム会社の株式会社 菱友システムズが主催するセミナーが行われた。 A&Mコンサルトも協賛という形で基調講演を行った。
基調講演は「低コスト経営時代に求められる経営革新のあり方」と題して、経営環境の認識とその中で求められる経営革新の進め方、情報システムを活用した改革の進め方を講演した。今回はこの講演の要点を説明する。
リーマンショック以降、日本経済が不況になり、円高、株価低迷、総じて企業業績も悪化した。特に基幹産業である自動車の国内生産台数減少、住宅着工の減少が顕著で内需拡大が難しく、東アジア(中国、韓国)、東南アジア、南アジア(インド)の新興国への外需の対応が必要になった。今年になり企業の業績に明るい兆しが出始めたが、これは、デフレ環境の中で企業が、中国、インドへの海外シフト、低価格商品の開発、EV、HEV等の革新商品の開発等、環境の変化に柔軟に適応した結果だと考える。環境変化に適応した事例では日本電産、ニトリ、マクドナルド、ユニクロ、コマツを取り上げた。
これらの企業の共通点は、第3回のA&M通信で取り上げた「オフェンス(攻め)とディフェンス(守り)経営」の推進を進めている事である。オフェンス(攻め)経営として顧客の創造を前提に売れる製品の開発、ディフェンス(守り)経営として固定費の低減、変動費の低減を進めている。
このオフェンス(攻め)とディフェンス(守り)経営を支援するツールとして情報システムがある。オフェンス経営ではITを活用して新規顧客開拓、新製品開発、ディフェンス経営ではITを活用して業務プロセス改善を進める。この業務プロセス改善の中身として、経営プロセス改善ではERP、開発プロセス改善ではPDM、生産プロセス改善ではSCM、販売プロセス改善ではSFA、この全てを包含したPLMがあり、これらの情報システムツールを活用して改革を進める事が現在の経営ではスピード、効率性、効果性を考えても重要である。
なお、ITを活用した業務プロセス改善の場合、IT導入と平行して業務改善を進める必要がある。ITツールを導入して、業務改善がなされなければ効果がでない。業務改善は現状の仕事の内容について目的を追究し、その仕事が行われている要因を調べ、他と比較する事により問題点を抽出し、その問題点を解消する改善案を検討し、実施する。
以上が講演の要点であるが、このITを導入する場合の成功ポイントを記載する
- (1)構想段階
- 経営戦略上のIT導入の位置付け明確化
- (2)企画段階
- IT導入の直接目的、目標明確化
- 事業特性、商品特性、生産特性に合ったIT導入範囲、導入方式の決定
- (3)構築段階
- 業務改善とIT適応設計を平行して実施
- 優秀なSIベンダーの設定
- パッケージシステムの場合はカスタマイズ、アドオンの最小化
- (4)導入段階
- システムに適応した組織変更の実施
- 徹底したシステム、データ精度検証
- (5)本番稼動段階
- 早期問題抽出と前向きな対応策の検討
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