- 平 仁
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対象:年金・社会保険
年金二重課税事件最高裁判決(最判H22.7.6、TAINSコードZ888-1536)
を受けた昨日の野田財務相の発言は、国民目線の潔さを感じましたね。
時効成立前の5年分の還付だけではなく、それ以前についても制度措置を
検討する、とのことですね。
この措置が生保業界を震撼させるとの新聞報道が多いのですが、この点に
ついては、疑問を投げかけざるを得ないところです。
なぜか?
最高裁は、年金に対する源泉徴収制度を否定するものではなく、相続税と
所得税の二重課税を否定するものですから、生保業界がこの判決を受けて
調査しなければならない主体的な理由がないんですね。
還付することを要求されるのは、相続税額を徴収した税務署であって、
税務署が、この人の年金は相続税で課税済みだからこの年金の源泉税を
いくら徴収していたのか、生保に問い合わせがあってからでなければ、
生保業界が徴収しすぎになっていた源泉税額がいくらあったのかを
調査することができないからです。
税務署から生保に対して、この人に対するこの年金で徴収した税金が
いくらあったのかの調査を依頼することになるので、
膨大な数を手当たり次第調査することをこの判決は一切要求していない
ことを理解して頂く必要があります。
最高裁は、生保が源泉税を徴収することに違法性はない、としたわけで、
あくまでも相続税で年金受給権を申告して相続税を支払った方に対する
所得税だけを二重課税であるとして否定しただけなんですよね。
昨日の夕方、野田大臣の発言の後で、あるテレビ関係者から、
この事件についてお問い合わせを頂きましたが、
税理士と課税当局にとっては甚大なる影響があるものの、
この事件によって救済される方が多くはないですよ、とお答えしました。
相続税を支払っている方は、亡くなった方の4%程度ですし、その中で
年金型保険を受け取っていた方だけが対象になるだけなんですから、
正直、対象者は少ないと言わざるを得ないですね。
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