株式投資信託と公社債投資信託とでは税金の取り扱いは異なります。
※株式投資信託とは信託約款上に明記されていて一部でも株式が組み込まれる可能性があるものは、全て株式投資信託です。債券のみに投資するような「○○○債券ファンド」といった名称のファンドも株式投資信託になる場合があります。
1.株式投資信託
(1)収益分配金は「配当所得」
決算時の収益分配金は株式の配当金と同じ「配当所得」となり、10%(平成21年4月以降は20%)の源泉徴収がされるだけで申告は不要です。なお、追加型株式投資信託の収益分配金のうち、特別分配金は元本の払い戻しに相当するので非課税です。
(2)値上がり益は「買取」、「解約」で取り扱いが異なる。
換金時の値上がり益については換金方法により取り扱いが異なります。販売会社に対する「買取」請求か投信会社に対する「解約」請求のどちらかを選択できますが、一般的には「買取」が有利です。
「買取」での利益は「譲渡所得」となり、申告分離課税で税率は10%(平成21年1月以降は20%)です。また「特定口座の“源泉徴収あり”」を利用すれば申告は不要です。また「買取」による損益は、他の株式等の売買損益などと相殺(損益通算)できます。どれかに損失がある場合は、課税所得を抑えることができ節税を図れます。さらに損益通算してもなお損失が残る場合は、その損失を申告により翌年から3年間まで繰越してその各年分の利益(所得)から差し引く(控除する)ことができます。なお、買付け時に支払った手数料もコスト(取得価額)に含めることができます。
「解約」にすると収益分配金と同じく「配当所得」となり10%の源泉徴収がされるだけで申告は不要です。ただし、解約価額が元本を下回るときの損失は株式等の売買益と相殺できますので節税を図ることができますが、解約価額が元本を上回るときの利益は配当所得として株式等の損失と相殺することはできません。また、買付け時の手数料はコストになりません。
(3)「特定口座」を利用して手間を省く。
「買取」または「解約」のどちらを選択しても「特定口座」を利用するほうが申告の手間を省くことができます。
「買取」の場合、「源泉徴収あり」を利用すれば申告は不要ですし、また「源泉徴収なし」を選んだ場合でも、年間取引報告書を送ってくれますから簡単に申告ができます。さらに、追加型株式投信を保有していた場合、決算時に非課税の特別分配金を受け取ると取得価額を付け替える必要がありますが、特定口座を利用すれば、この付け替えも口座内で処理されるのでこの手間も省くことができます。
2.公社債投資信託(MMF、MRFなどを含む)
公社債投資信託は、決算時の収益分配金と、解約・償還時の利益とも「利子所得」とされ、一律20%の源泉分離課税です。
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このコラムの執筆専門家
- 佐々木 保幸
- (京都府 / 税理士)
- 税理士法人 洛 代表
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