- 井上 岳久
- 戦略PR&マーケティング総合研究所 戦略PRコンサルタント、中小企業診断士
- 東京都
- 経営コンサルタント
対象:商品企画・開発
- 平岡 美香
- (マーケティングプランナー)
- 平岡 美香
- (マーケティングプランナー)
昨年、あるマーケティングPRが世界中で話題を呼びました。
それはオーストラリアのクイーンズランド州政府が世界最大の珊瑚礁・グレートバリアリーフで遊びながら高額報酬を受け取れる「世界最高の仕事」の引受人を大々的に募集し、34歳の英国人男性が選ばれたというニュースです。
「世界最高の仕事」とはグレートバリアリーフにあるハミルトン島で半年間3億円の豪邸に住み、島を巡回したり海に潜ったりして生活ぶりや島の魅力をブログで紹介することで、報酬はなんと15豪ドル(約1100万円)です。
この募集に約200の国や地域から約3万4600人の応募があり、日本人でも31歳の女性会社員が最終選考の16人に残りましたが、残念ながら最後の選には漏れてしまいました。
さて、これのどこが「マーケティングPR」なのかは、これから説明します。
恐らくクイーンズランド州政府では、ハミルトン島に世界中から観光客を集め観光収入を得たいという経営目標がありました。
しかし予算は数千万円程度(予想するに?!)、普通に考えたらちょっといいCMの制作費程度で、放映料までは手が回りません。
あとはせいぜい新聞に少し広告を載せたり、インターネットにバナー広告を打ったりするくらいで、とても「世界中から観光客を集める」目標は達成できそうにありません。
けれどこれを「世界最高の仕事引受人募集」のニュースにすれば、世界中のメディアが注目します。
CMや広告を出稿しなくても、テレビや新聞が無料で話題にしてくれるのです。
最終選考に日本人が残っていたのも戦略上手なところで、恐らく最後の16人には世界中の異なる富裕な地域の16人が選ばれたのでしょう。
自国の人間が最終選考に残れば当然各メディアは話題にしますから、ハミルトン島の名前は大きく報道され、世界中から観光客を呼び込めるという仕組みです。
この一連のマーケティングPRでは、実に1億豪ドル(約70億円)の宣伝効果があったといわれています。
ちょこちょこっとブログを書くだけで1100万円の報酬を与えるなんて、ずいぶん気前のいい話だと思った人も多いでしょうが、クイーンズランド州政府はその比ではない宣伝効果を挙げていたのです。
これが「マーケティングPR」の力です。
日本では「イカール星人」というイカのキャラクターがYou-Tubeで人気を呼び、都内の街頭ビジョンや電車内チャンネルにも出現しましたが、これも函館市が観光客を呼び込むPRの一環として仕掛けたものです。
おカタイと言われる日本の役所でも、こんな柔軟なPRが始まっており、マーケティングPRの重要性は高まる一方です。
井上戦略PRコンサルティング事務所http://www.mk-pr.jp/
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