武士道から、子育てのあり方を学ぶ - 対人力・コミュニケーションスキル - 専門家プロファイル

宮本 ゆかり
マイウェイネットワーク 
ビジネススキル講師

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閲覧数順 2024年04月18日更新

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武士道から、子育てのあり方を学ぶ

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人事担当者より、世のお母さんへ子育て提言 我が家の子育てから
以前、『武士道セミナー』というタイトルで、何度かセミナーを主催したことがありました。
武士道に詳しい先生から、武士道の神髄を現代風にわかりやすくアレンジして伝えていただいたのです。
その話は、企業におけるリーダーのあり方、そして子育てにおいても考えさせられる、示唆に富んだものでした。

まず、剣道を教えている先生の教育方針についての事例から。
それは剣道を習う子ども達に、電車の中では絶対に座席に座らせない、というものでした。
座るとしたら電車がすいていて、「立っている人が一人もいない」という状況になって初めて座る。
なぜなら、「剣道を習っているということは他の人よりも強いということ。強い者には強い者としての責任がある。強さは弱いものを守るためにあるからだ」。
だから、「譲る」以前に「座らない」。弱いものを座らせてあげるのです。


また、イギリスのエリート校「イートン校」における、「ノーブレス・オブリージ(高貴なる義務)」の話。
同校には碑があり、第一次・第二次世界大戦の戦死者(卒業生)の名前が数多く刻まれています。

トップこそ自己犠牲の先頭に立て、と教えているので、ほかの学校より飛び抜けて戦死者が多いそうです。
ここでのリーダー学(人間のあり方の指針)は自己犠牲の教育であるともいえます。


ところで、日本で「世界に一つだけの花」がヒットしてずいぶん経ちますが、この歌が発するメッセージは、多くの日本人の共感を得ました。

「あなたは、かけがえのない大切な存在なんだよ」「人と比較しないで自分らしく生きればいい」

それはごもっとも。

でも、このレベルにだけ留まってしまっては、自己満足で終わってしまうように思うのです。


人間は、何かの、誰かの役に立って初めて、本当の満足が得られるようにできているのではないでしょうか。

強さは自分を誇示するためのものではなく、他人のために役立てるべきもの。
そして、役立てた時、本当の充実感が来るのです。
その充実感は、将来への大きな宝となります。

「その花を咲かせることだけに一生懸命になればいい」のではなく、「ほかの花を咲かせて自分の花も大きくなる」のです。
そして咲かせてもらった他の花は、まだつぼみの人に幸せを返す。
幸せを返すことでさらに大きな花になる。そこに喜びが来るのです。


間違った「強さ」の使い方をしている人のなんと多いことか。
小学生のいじめに始まり、パワーハラスメント、ドメスティック・バイオレンスに至るまで、子どもから大人まで、使い方がわかっていないのです。

間違った強さの応酬は、めぐりめぐって一番の弱者(子ども)にしわ寄せが来ます。

まず、小さいところから「人の役に立つ“味”」を体験することです。
材料はあちこちにころがっています。
子どもも大人も、同じです。
その味を覚えることが、「心の教育」「命を大切にする教育」へとつながり、将来社会をひっぱっていくリーダーが育つのではないでしょうか。
大人ならば、より深みのある人となり、魅力ある人になるでしょう。
まずは、大人が「強さ」の使い方を再考し、「人の役に立つ“味”」を知り尽くし、深い人になること。
そして、子どもに身をもって教えることが大切ではないかと思いました。