本日(11/5)、先月13,14日に行われた日銀の
「金融政策決定会合」の議事要旨が公表されました。
すでに新聞紙上等で発表されている通り、日銀はこの会合で
「わが国の景気は持ち直しつつある」という判断を発表しています。
公共投資の増加、内外の在庫調整の進捗、
海外経済の持ち直しを背景に、
製造業大企業を中心に企業業績が改善しています。
そして、不確実な要素は多いものの
「物価安定のもとでの持続的成長経路へ復していく展望が拓けるとみられる」
としています。
(「開ける」ではなく「拓ける(開拓すると言う意味)」としたところがミソですが)
各経済指標からはこういう判断も出てくるのでしょうが、
実際の感覚としてはとても「景気が持ち直しつつある」という実感はありません。
いま、賃貸市場は空室率の上昇から家賃も大幅な下落傾向にあります。
職を失ったり給与がカットされたりで、
東京を離れて親元へ帰る単身者が非常に増えています。
雇用が回復し給料が上がらなければ住宅の賃料も上がることはありません。
資源や商品の高騰で物価が上がることはあっても、
それに連動して賃料が上がることはない。
あくまで家賃水準を決めるのは入居者の懐具合です。
厚生労働省が今月2日発表した『毎月勤労統計調査』を見ると、
「賃金指数」の「現金給与総額」の項目では、
平成17年を100とした場合、今年の9月は80.3まで落ちています。
平成19年以降は毎月前年比マイナスという状況が続いています。
同じく厚生労働省が11月4日に発表した
『高校・中学新卒者の就職内定状況等について』では、
9月末の高卒内定者の内定率は37.6%で、前年同期比▲13.4%。
求人数にいたっては前年比▲46.7%と発表されています。
このような状態では、たとえ日本最大の労働力需要地である東京であっても
空室率が改善されることもないでしょう。
それでは、景気が本当に回復すれば賃金が上がり、家賃も上がるのでしょうか?
個人的には、日本の産業構造が抜本的に変わらない限り
それは非常に難しいと思っています。
なぜなら、いまの賃金の下落の原因は、
経済のグローバル化、IT革命による技術革新がその根底にあるからです。
経済のグローバル化、
とくに国内製造業の工場海外移転によって賃金は世界的に平準化していきます。
極端に言えば、
日本の労働賃金と新興国のそれが同じになるまで日本の賃金は落ち続けます。
また、さらなる技術革新によって生産性が飛躍的に向上し、
単純作業をする労働者は必要がなくなり、
ますます国内労働力の過剰は続きます。
付加価値の高い仕事に従事する人の給料は
上がっていくでしょうが、しかし、そういう人は一握りです。
ほとんどの、そうではない誰でもがやれるような仕事にし
従事していない人の賃金は下がり続けるでしょう。
時代をどう読み、どう捉えるのか。
長期投資にとっては、この感性が重要なファクターになるのではないでしょうか。
株式会社イー・エム・ピー
代表取締役 中村嘉宏
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