賃貸市場の現場では、
一時期巷で言われた「都心回帰」とは
逆の現象が起きています。
いままで
「絶対的に賃貸ニーズがあり、入居者募集に困らない」と言われていた都心部が
急激な空室率の上昇と賃料の下落に見舞われています。
その原因は入居者の「都心からの脱出」です。
ホームズの調査によれば、今年9月の賃料調査で、
東京が昨年比▲5.3%、神奈川▲3.5%なのに対し、
埼玉▲1.6%、千葉では1.5%のプラスになっています。
東京でも都心エリア(▲7.2%)とは対照的に、
都下(3.3%のプラス)や城北エリア(▲1.3%)は比較的好調です。
都心でも賃料や敷金・礼金を下げたり、
空室対策としてフリーレントを導入する物件も多くなっていますが、
家賃だけでなく物価全体が高いため
流出を止められないといった構図です。
逆に、都下、千葉、埼玉などは比較的交通のアクセスも良く
物価もそれほど高くないので、
生活防衛上それらのエリアへ人が移動しているということです。
総務省がまとめた労働力調査によると、
7-9月期の派遣労働者数が前年同期比で38万人減少しています。
非正規雇用者全体では
36万人減(アルバイト、パートは若干増)と3四半期連続の減少で、
非正規雇用者の就労環境は厳しい状況が続いています。
全雇用者数も前年同期比52万人減。
失業者のうち、
「前職は正規労働者」だったのは96万人で前年同期比41万人増。
正規、非正規を問わず、
急激な勢いで雇用が悪化しています。
今年9月末の完全失業率は5.3%ですが、
完全失業率という定義の中には
「就職活動を止めた」人は失業者の中に入っていません。
年齢的に仕事が見つからず就職活動を止めた人や、
食うに困って親元に避難するため一旦故郷に帰った人は
統計上失業者には入っていません。
おそらく、こういった人も含めると
日本の失業率は7%を越えているのではないかと言われています。
就労人口だけでなく、
所得も急激に落ち込んでいます。
かつて『年収300万円で生き抜く経済学』(森本卓郎著)
という本がありましたが、
その本が出てから10年もしないうちに、
生産労働人口の3分の1が200万円以下で生き抜く方法を
考えなければならない時代が来ています。
潜在的な都心の賃貸ニーズの優位さは動かないものの、
雇用環境の悪化は当分続くと思われ、
都心からの脱出現象は
今後もしばらく続くのではないでしょうか
株式会社イー・エム・ピー
代表取締役 中村嘉宏:談
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