長期優良住宅認定は一戸建てで順調ですが・・・ - 会計・経理全般 - 専門家プロファイル

平 仁
ABC税理士法人 税理士
東京都
税理士
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長期優良住宅認定は一戸建てで順調ですが・・・

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長期優良住宅の認定について、一戸建て住宅では順調に認定数が増えている
一方で、マンション等の共同住宅では、認定数が逆に減ってしまっている。
26日19時2分asahi.com記事はこう報じた。

欧米並みの寿命を持つ住宅に地方自治体がお墨付きを与える「長期優良住宅
制度」で、マンションなどの共同住宅の認定戸数が低迷している。
制度を始めた6月以降、一戸建ては順調に増えているものの、共同住宅は
一戸建てのわずか3%。
顧客のニーズと認定基準にずれがあるとみられ、国土交通省は「共同住宅対策」
を検討する方針だ。
長期優良住宅は劣化対策や維持管理など九つの基準を満たし、100年以上
持つと見込まれる住宅。
長持ちさせて、住居費の負担を軽くしたり、廃材の削減で省資源化を進めたり
することが目的だ。
住宅購入者が申請し、認められると所得税控除など税制優遇が受けられる。
国交省によると、7月の認定数は一戸建てが4629戸に対し、共同住宅は12戸。
一戸建ては6月(2181戸)から2倍以上になったが、共同住宅は6月
(187戸)の10分の1以下だ。
国は制度開始後2〜3年をめどに一戸建て、共同住宅とも新築の10%が
長期優良住宅になると見込むが、共同住宅は申請が少なく新築に占める
認定物件の割合(6月)は0.56%と、一戸建ての6.27%に大きく水を
あけられている。
国交省住宅局は「認定基準か、認知不足か原因を調べ、住宅メーカーへの
補助制度の拡充なども考えたい」としている。
不動産協会によると、共同住宅の認定が少ない原因として考えられるのはコストだ。
共同住宅の場合、天井の高さや耐震性など基準を満たそうとすると、
1〜2割ほど販売価格が上がるという。
協会関係者は「今のマンションはほとんどが長持ちし、コストをかけてまで、
認定を取ろうと思わないところも多いのではないか」と話す。
「ライオンズマンション」で知られるマンション分譲最大手の大京は
「客のニーズが高まっていない」と指摘。
同社は基準を満たすマンションを横浜市に建設中だが、客が契約した最大の
理由は「立地」で、長期優良住宅制度への関心は低いという。
一方、一戸建ては好調だ。
木造戸建て大手のエス・バイ・エルが4月から「長期優良」を売りにした
住宅販売を始めたところ、3カ月で目標の約1.3倍の100戸の注文があった
という。
同社は「長く住むことを考え、安全や質を保証するという点を重視している
のではないか」とみている。


長期優良住宅制度に関する税制については、税務弘報の8月号で原稿を
書かせて頂きましたが、調べれば調べるほど建設コスト増の要因になる
と感じていたところです。
いわゆるこだわりの住宅として、念願の一戸建てを新築する方にとっては、
終の棲家として、子どもや孫の代までもつ家を建てるニーズはあるでしょう。
また、手続が大変であっても、税額控除の効果を考えれば、長期優良住宅の
認定を受けるニーズはあるんですね。
しかし、建設済みの物件を販売するマンションや建売住宅においては、
長期優良住宅を建設した反面としての販売価格の高騰を吸収しきれない
のではあるまいか。

建設済みの物件を購入する方と建設前の物件を購入される方とでは、
住宅に対するニーズが違うように思う。

都心のマンションに住んでいる方の意識として、終の棲家としてマンションを
選択されている方はどれだけいるのか。
購入される方の中には、終の棲家としての意識がある方もいるだろうが、
マンション住民の多くは、通勤等への利便性を意識しており、将来的には
売却して住環境の良いところへの引越しを考えている方が多いのでは
ないだろうか。
そうすると、マンション購入者のニーズは、将来の売却時に残債が残らず、
代替物件の購入資金の負担にならないような物件、つまり、高くない物件に
集中するのではないだろうか。

したがって、長期優良住宅へのニーズはマンション購入層には浸透しにくい。
その一方、注文住宅で一戸建て住宅を購入する方からすれば、こだわりを
もって住宅を購入する方だからこそ注文住宅を選択するのですから、
長期優良住宅へのニーズは喚起されやすいと言えよう。
記事にあるエス・バイ・エルは建売住宅ではなく、注文住宅の大手である。

注文住宅については、近年トラブルも増えているようであるが、
(5月13日コラム「前払い要求の注文住宅メーカーの破綻」を参照)
健全な経営をしている優良建設会社を選んでいけば、いいものが作れる
はずです。
また、建築士が主導しているケースも増えているのではないでしょうか。

要件が厳しく、手続き上も煩雑ではありますが、近年に無く効果がある
税制改正であるだけに、長期優良住宅の認定件数が増えてもらいたいものだ。
それに、長期優良住宅は、建設廃材が少なくなると言う意味でも、エコ
なのだから、地球にも優しい制度なんですよ。