民主党税制調査会(5・完・平成21年度税制改正) - 会計・経理全般 - 専門家プロファイル

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民主党税制調査会(5・完・平成21年度税制改正)

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税制改正 平成21年度税制改正
今日は、いよいよ民主党税調の主張する平成21年度税制改正の
具体的内容について、紹介する。

これまでの4回の主張がその前提となっていることを踏まえて、
先に紹介した自民党税調(今年は自民党税調から発表された後、
自民・公明両党の合意とされている)による平成21年度税制改正大綱
との異同を考えて頂きたい。

5.平成21年度税制改正について
9月のリーマン・ショック以降の金融、為替、株などの国際市場の
混乱や世界経済の需要の急速な縮小の影響を受け、わが国の実体経済は
これまでに例を見ないスピードで悪化している。
世界経済が混乱していることから、外需をきっかけとするこれまでの
回復パターンを期待することができず、今後の見通しは極めて厳しい
状況にある。

民主党は政権獲得後直ちに、前記のような理念、方向性、プロセスに
基づき税制の抜本的な改革に取り組んでいくが、平成21年度の税制改正
については、現下の経済状況に対応し、国民生活を守り、わが国経済の
基盤である中小企業の経営を支えることを中心に、以下の改正に
重点的に取り組むことを求めていく。

(1)租税特別措置の見直し
民主党は租税特別措置について「租特透明化法」を制定することを通じて、
抜本的な見直しを進めていく。
しかし、今次の平成21年度税制改正においては、租特の抜本的な見直しを
行うだけの十分な資料が収集・公表されておらず、その実態や政策効果を
正確に把握することができない。
よって今次改正においては、基本的な考え方を踏まえつつ、可能な限り
個別の租特の意義、効果を検証した上で、個別の案件ごとに判断していく。

ア)費用対効果
減収額、担当部局の人員、事務量などの当該租特を実施するための費用に
対して、十分な効果が得られているか。
またその効果は現在の社会に求められている効果か。

イ)実施時期
当該租特の政策目的に照らして、その実施時期が適切か。
既に目的を果たしていないか。
目的自体が社会のニーズに即しているか。

ウ)支援措置の重複
補助金などの歳出側からの支援制度において、当該租特と同様の
目的を有する制度が存在しないか。
歳出側からの支援制度との役割の分担は明確か。

(2)内需主導型経済への転換
家計の可処分所得を増やすことにより、過度な外需依存型から
内需主導型への転換を図る。
・道路特定財源については、平成21年度において着実に一般財源化を
図ると共に、暫定税率を廃止し、減税する。
・年金課税については、「公的年金等控除」「老年者控除」を、
平成16年度改正以前の状態に戻す。
・証券税制については、一体課税の環境が整備できるまでの間、
現行の優遇税制を延長する。
・住宅ローン減税については、現在の平均的なローン残高が1600万円程度
であることから、いたずらに最大控除可能額を拡大するのではなく、
バリアフリー化や省エネなどの社会ニーズの高い分野に対して
重点的な負担軽減策を講じる。
また、自らの資金で住宅を新改築・購入した場合でも、住宅ローン減税と
同程度の負担軽減を受けることができる制度を創設し、団塊世代などの
建て替えやリフォームのニーズに応えていく。
・生損保などの民間保険会社の保険料控除については、社会保障制度を
遺族・医療・介護・年金といった保険商品に対応した、新しい保険料控除
制度を創設した上で、所得控除限度額を所得税において15万円程度に
引き上げる。

(3)中小企業等に対する支援
わが国経済の基盤である中小企業の活動を支えると共に、これを通じた
雇用の確保を図る。
・中小企業に係わる軽減税率を、当分の間、現行の22%から11%に引き下げる。
・いわゆる「特殊支配同族会社」の役員給与に対する損金不算入制度は廃止する。
・平成4年度から凍結されている繰戻還付制度は、凍結を解除する。
・中小企業の交際費の損金算入限度額について、現行の90%を上限規制を
撤廃し、400万円以下の部分について全額損金算入を可能とする。
・中小企業の事業承継に係わる税制については、事業や雇用の継続を条件に、
株式についても事業用宅地並みの軽減措置を適用する。
・企業が国外に保有する資金を国内に還流し、設備投資、賃金引き上げ等に
活用できるよう、海外子会社からの配当について非課税とする。

(4)市民が公益を担う社会の実現
・所得税の寄付優遇税制に「税額控除」を創設する。
・NPO税制については、パブリック・サポート・テストなどの認定要件を
大幅に緩和すると共に事務手続きの簡素化を進める。
・認定NPOにおけるみなし寄付の損金算入限度額の引き上げ、NPOに
対する寄付の税額控除制度創設などを行う。

(5)徴税の適正化
・毎年、1兆円弱の新規滞納が生じている現状に鑑み、徴税の適正化を図る。
また個人・法人合計で1000億円近くも加算税が生じている状況を是正する
ため、罰則の強化や重加算税割合の引き上げを行う。
・消費税の還付額が年間3兆円にも達しているが、その中には相当額の
不正な還付が存在すると考えられる。
これを防止するため、還付に係わる調査機能を強化する。
・企業活動の国際化に伴い、「移転価格税制」が課題となっている。
企業活動の円滑化を図るため、速やかに関係各国と調整を行う体制を整えると
同時に、一部に見られる租税条約の乱用等不適切な事業の摘発を強化する。



民主党の平成21年改正の具体的内容については、租税特別措置法の
抜本的見直しを主要な改正点としている点は、高く評価したいですね。

ガソリン税の暫定税率も同様ですが、暫定税率も租税特別措置も、
あくまでも暫定的な時限立法であるべきで、半恒久的な措置とするならば、
本法に規定すべきものである。

それにもかかわらず、安易に数十年も時限的措置の適用延長を行ってきた
ことについては、政治責任を追求することも仕方のないことであろう。

「移転価格税制」に至っては、国際課税における基本的ルールとまで
言えるような様相を呈しているにもかかわらず、法人税法には規定されず、
未だに租税特別措置法に規定されているにすぎない。

また、自民党税調も提言した繰戻還付の凍結解除も17年間、
規定の廃止ではなく、適用の停止を時限的措置として続けてきたものである。
凍結解除を唱えてきたので、自民・民主とも凍結解除を主張したことは
喜ばしいことであるが、法学部の教員としては納得いかないやり方であった。

ただ、民主党税調には、なぜ自民党に遅れること10日も経ってからしか、
主張が出てこないのか、と言わざるを得ない。
東京高裁平成20年12月4日判決(TAINSコードZ888-1387、未紹介)を
始めとする、不動産譲渡損失の損益通算を不可とする税制改正の訴求適用の
合憲性を巡る一連の裁判を民主党税調の首脳はどう評価するのであろうか。

12月第2週の金曜日に公表されていた自民党税調の答申の内容は
マスコミや税理士らによる緊急セミナー等により、改正が予想できた
のであるから、翌年の税制改正法案が国会で成立する前に行った
不動産譲渡の損失を、確定申告で控除することを認めないとする判決を
理解していたならば、仕事納めまでわずか3日しかない12月24日に
税制改正案を出してくることは責任ある政権政党を目指すものの行動とは
考えがたいと言わざるを得ないではないか。

本気で政権を取るつもりなら、公表の時期は、翌日かせめて
週明けの月曜日に出すくらいの度量を示して頂きたかった。
内容は高く評価できるものだっただけに、実に残念である。

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