- 廣瀬 孝一
- Powerful Management 代表
- 沖縄県
- 人財育成/セールストレーナー/プロコーチ
対象:ビジネススキル
私は、一部の営業パーソンの皆様が販売について難しく考えすぎているような気がします。
もしくは、ボタンの掛け違いをしているケースも少なくないと考えています。
例えば、知恵の輪もはじめはとても難しく解けないこともありますが、一旦説き方が分かれば後は簡単ですね。
不具合の解消が販売シーンのテーマです。
お客様が不具合を感じていて、それを一緒に解決する方法を見つけることが、販売シーンの対話内容です。
売り込む事ではありません。
最後の押しが必要ない場合もあります。
「押しが弱いんです」と感じている方も、心配ご無用です。
もし誰かがあなたに「シャーペンの芯を持ってる?」と尋ねられた際に、あなたが持っていればお金と交換するだけです。
シンプルでしょ。
シャーペンの芯が切れた不具合を、シャーペンの芯を売ることで不具合が解決しました。
もし課題があるとすれば、あなたは提供できるものを持っているにもかかわらず、必要とする誰かがあなたに尋ねてくれないことです。
ここで課題を整理しましょう。
営業パーソンの課題
1.販売はシンプルだけど、難しく考えすぎているだけ。
2.必要とするお客様があなたに尋ねてくれない。
3.闇雲に商品特長をPRしているだけ。
お客様の課題
1.不具合を解決する策が見つからない。
2.不具合そのものに気付かず、現状に不満を感じていない。
「販売は簡単だけど、難しく考えているだけ」
冒頭にも書かせていただいた通り、販売は不具合の解消作業です。
営業パーソンである我々が、販売するために力を注ぐ必要があるのは次の5つに集約できます。
1.売りやすい環境を整える。
店舗であれば、お客様の目を惹く演出やお客様が品選びしやすい環境を整えることです。或いは他店で取り扱わないような品揃えをすることです。
卸会社のようなルート営業の場合は、お取引先との関係強化です。その為には、担当同士だけでなくトップ同士の関係強化の為に、面談や懇親の機会を設ける必要もあります。
訪問型の営業であれば、会社の知名度や商品の知名度アップが必要です。テレビコマーシャルなどのメディアだけに頼るのではなく、いち営業パーソンとしてコアなユーザーを創るなどのこともできます。
私の体験例としては、「ご満足頂いたお客様宅で説明会をさせていただく」という体験があります。ご満足頂いているので、一緒になってPRしてくださいます。
また、納品時にお客様がお友達を呼んでいて、使い方の説明が終わった際に、お友達にその場でご契約いただいたこともあります。
現在はSNSやメールマガジンといった飛び道具で、気軽にお知らせすることもできます。
底上げしたいのは商品やサービスに関連する知識です。
皆様は商品知識には絶対的に自信をお持ちだと思います。
しかし私は皆様に問いかけたいです。 「本当に?」
関連知識は豊富ですか?
私は、洗濯機を販売するために、洗剤の勉強をしました。
空気清浄機や冷蔵庫を販売するために、カビの勉強をしました。
オーブンレンジを販売するために、パンやシュークリームも作りました。
会社任せでなく、自分が出来ることを探してみてはいかがでしょうか。
2.提供できる商品やサービスは、どんなお客様のどんな不具合を解消できるのか
これはターゲット設定です。皆様が取り扱う商品やサービスのターゲットは明確ですか?
より具体的な表現になっているかをチェックしてみてはいかがでしょうか?
例えば、単価が高い商品を販売する場合、ターゲットを「収入が高い人」という表現にとどめていませんか? 「収入が高い人とはどんな人」ということを、もっと掘り下げて具体化したほうが良いと思います。
外車を新車で購入した人/一部上場企業に勤務している/会社役員/地主/アパート経営者/発売当初のプリウスをいち早く購入した人など。
こんな表現をしたこともあります。 「夫婦仲がいい人」≒「ご夫婦で釣りに出かけている」
更にやりたいことは、ターゲットの拡大です。 似通ったターゲットだけではいつか頭打ちが来ます。
自社商品の活用方法を開発していますか?
私が前職時代に、「液晶ビューカム」という液晶モニター付きのビデオカメラが発売された時のお話をしたいと思います。
当時のビデオカメラは、「子供を撮影して楽しむもの」という捉え方が、メーカー、小売店や消費者の方々に蔓延していました。
当時の私はメーカー子会社の卸会社に所属しておりました。
会社に2台の商品を持出し申請を行い、休日に同僚とスキー場で行った事があります。
滑っている様子を、滑りながら撮影することです。 そして、滑りながら撮影している様子をもう1台の液晶ビューカムで待ち構える麓から撮影するのです。 小さなのぞき窓を除く必要がなく、両目を開けた状態で撮影することが出来たのでそのようなことが可能になりました。
つまり、「フォームのチェックがその場で出来ますよ。」というデモテープ作りです。
ゴルフの練習場で撮影したり、販売ターゲットの野球部監督を訪ね、練習風景をその場で撮影し、フォームを生徒さんとその場でチェックしていただいたりしました。
既にお察しの通り、めちゃくちゃ売れました。 その場でフォームを指示される生徒さんが、言葉だけでは分かりにくいという不具合を解消し、ターゲットを拡大致しました。
企画から製造販売までを手掛けるめがねのJINSさんは、皆様もご存じだと思います。 JINSさんは、パソコンやタブレットから出るブルーライトから目を護るというコンセプトで、視力が良い人までターゲットを拡大しました。
3.販売シーンで工夫できることを探す。
これは、売り方開発です。
カタログだけで紹介するのか、商品を見せるのか、別の小道具を創るのか、資料を創るのか、とにかく理解促進を図るツールやトークです。
私の昔の体験談ですが、「ラジカセにマイクとカラオケテープをセットで売る」という体験です。
名付けて「MSKUNK作戦」です。 M見せて、S触らせて、K聞かせて、U歌わせて、N納得して、K買っていただく作戦です。 この時は、カタログやチラシはほとんど使わず、如何にお客様に歌っていただくかがポイントでした。 お陰様で私は、演歌や懐メロを沢山覚えてカラオケレパートリーが増えました。
質問に「Yes」「No」に答えて進むと、お勧めの商品に辿り着くようなシートを作成したり、アンケート形式でお客様ニーズを確認できるシートなども創りました。
現在の私は、講座受講者の声を使わせていただいたり、講座受講者へのインタビュー動画を公開したりしています。
4、出来れば最上級、悪くてもお客様ニーズより1ランク上の商品を販売する。
これはとても重要なことだと考えます。
では、なぜ重要なのか?
お客様が買って使って満足や感動を得る。
現在使っている商品と同じ機能の商品を買って、満足する人が居るでしょうか? あるいは、友達に買い替えて良かったとお話しされる方が居るでしょうか?
私達は、そのお客様に末永くリピートいただいたり、知人をご紹介頂きたいですよね。
そうなる為には、「買って良かった!」が必要です。
5.顧客管理
私たちは、営業活動が不可欠です。
その為には、顧客と未顧客、上得意客/得意客/ご無沙汰客、契約客/見込み客/見込み期待客/アプローチ客といったお客様を分類して、効果的に営業活動を行う必要があります。
また、取扱商品別顧客名簿を整備して、顧客でありながら未だにお取引のない商品を採用いただく必要があります。
更に、規模別売上高一覧表などを整備して、分析したうえで重点取組先を決める必要もあります。
さて、はじめに整理した課題に戻りたいと思います。
営業パーソンの課題は、「販売はシンプルだけど難しく考えすぎ/必要とするお客様があなたに尋ねてくれない/闇雲に商品特長をPRしているだけ」でした。
お客様の課題は、「不具合を解決する策が見つからない/不具合に気付かず、現状に不満を感じていない」でした。
今回お示ししたことで、ある程度道筋が示せたと思います。
販売は、不具合を解消する活動である。
不具合を感じていただき、ご購入いただく。
不具合を感じていそうなお客様ターゲットを明らかにする。
理解促進を図る売り方を開発する。
顧客管理を行う。
次回には、「お客様が買うものと得たいものは違う」というテーマの核心に迫って参ります。
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