スイッチング・コストとは? - 営業戦略・販売計画 - 専門家プロファイル

水内 終一也
合資会社アクタリスト 
経営コンサルタント

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閲覧数順 2016年12月02日更新

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スイッチング・コストとは?

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マーケティング以外 【一作業一工程】業務効率の向上
前回お伝えした、一作業一工程による文章作成例は、頭の中のスイッチング・コストを極端に削減するための方法でした。

スイッチング・コストとは、1つのことに没頭してトコトンやると、最大効率で行うことができるのに、一度に複数の工程のことを考えながら行うと発生する、頭を切り替える時間のロスのことです。

「そんなロスあるの?」

そう思われるかもしれません。

前回お伝えした「一作業一工程」による文章作成を部下に教えたところ、文章制作の時間は3分の1に減少しました。定型の提案書のような場合は、最大5分の1にまで減少しました。

部下は、ワードに文章を書き、1回1回レイアウトし、レイアウトしたのに、文章を書き直してはレイアウトが崩れ、それを直し・・・。と、まぁ、誰もがやっているであろう文章の書き方をしていました。

ですので、文体は最初と最後では違っているし、レイアウトの決まりごとも、統一感がありません。

その時、その時の思いつきで作業をしているからです。

部下の文章の作成方法は、文章のネタを想起すること、文章を考えること、文章を書くこと、文章のレイアウトを確認してレイアウトすること、文章の校正校閲をすること、文章の誤字脱字をチェックすることを、行きつ戻りつしながら、漫然と行う方法です。

「漫然と」と、書きましたが、部下の頭の中は、さぞかし忙しいことでしょう。

文章のネタを想起すること、文章を考えること、文章を書くこと、文章のレイアウトを確認してレイアウトすること、文章の校正校閲をすること、文章の誤字脱字をチェックすること・・・、こうした作業を一度にやろうとしているのですから。

そして手順も取り決めもないので、気付いたり、思ったり、感じたりすることに頼って文章を作成しています。

でも、文章作成に気付いたり、思ったり、感じたりすることはあまり必要ではないのです。

それは文章を書く前段階のメモレベルまでの話です。実際に執筆する際はただ書くだけ。

もし書き足りない、具体性に欠けるなどのことが発生した場合は、文章を書ききった後のチェックの時に書き足せばいいのです。

家を建てる際には絵コンテやパース図、設計図の他に、各工程の図面が何十枚も描かれます。

そして、その図面を元に、基礎を作る土木屋さんは基礎を作り、大工さんが構造を作り、内装屋さんが内装を作り、屋根屋さんが屋根を作り、ガラス屋さんが、窓ガラスを当てはめ、建具屋さんが、戸に取っ手をつけたりします。

家を建てる作業に関わる人は、その場の自分の勝手な気付きや思いや感じたりすることにしたがって作業していません。図面に従って作業を淡々と行います。

家を建てることに当てはめれば、部下の文章作成は、家の構造を作り始めたら基礎が無いことに気付いて、基礎を作り始め、内装をしていたら雨が降ってきて屋根を先に作るべきだったと悔やみ、めちゃくちゃな家を建てているようなものです。

そんな家に住めませんよね。

例えば、デザイナーの仕事の場合、ヘタなデザイナーは、絵コンテを描かず、PCの画像ソフトの上で素材を切ったり、重ねたりしながら、ああでもない、こうでもないと何日も手を動かしながら、制作します。

で、手間隙かけたんだから、もっと金をよこせと言ってきます。

しかも、大抵の場合、クライアントが望んでいるデザインではないので、やり直しをさせられるハメになります。

でも、デザインなんて、ほとんどが作業です。感性、才能が必要なのは、最初の絵コンテレベルの話です。絵コンテでクライアントの承諾を得て、その絵コンテに必要な素材を用意し、手順を決めて作業すれば、大抵のデザインは1日も掛かりません。

作業途中で、作業の途中報告をしてクライアントに承諾を得れば、やり直しも発生しません。

文章作成もデザインも頭の中の作業に見えますが、実は全く違うのです。

ただ単に作業の連続なのです。

漫然と(しかし本人の脳みその中はあわただしく)、幾つモノ作業を同時にやろうとして、混乱している、その時間がスイッチング・コストなのです。

私の例を書きましょう。

私は最近、秘書を入れました。

そして私に対しての問い合わせは秘書に全てメールで送るようにしました。

私は、午前の問い合わせをプリントアウトして、午後12時半に確認し、「即連絡」とか「資料作成後連絡」とか「断る」とかのフォルダーに分類します。

「一作業一工程的」に言えば、案件を判断するということだけに集中します。

そして午後1時から30分間だけ連絡業務のために電話を架けたり、メールを書いたりします。

次に案件を確認して判断するは午後3時です。そして3時半から、また連絡業務だけします。

午後3時以降の案件は判断だけして、翌朝に連絡業務を行います。

それ以外の時間は、資料作成やコンサルティング等の知的な仕事に没頭します。

秘書を入れる前と比べると、作成できる資料や対応できるコンサルティングの件数は倍増しました。

逆に言うと、それまでは、集中して資料を作っていると、案件が飛び込んできて、その対応に追われ、資料作成に戻ろうとすると、頭が資料作成に集中できない状態なので、調子が出ず、やっと調子を取り戻したら、また案件が飛び込んできて・・・。

と、まぁ、こんな感じだったのです。

スイッチング・コストだらけだった訳です。

知的な仕事のスイッチング・コストを減らすことは、工場の生産ラインを最効率に組むことに似ています。また先ほどの家を建てることの各段階の図面をしっかりと作り、各専門の職人が黙々と作業するのにも似ています。

会議で、すでに決まった案件に対して、あとから蒸し返してくる人がいると思いますが、そうした迷惑な人によって、もう一度、同じ案件を話題に会議するのもスイッチング・コストです。

人の頭は、最終アウトプットが決まっていて、その手順が明らかにされていて、材料も予め用意されて、その1つ1つの工程をしっかり、それだけをやって、順番に作業を進めれば、質が高く、そして早くアウトプットが可能です。

それを感情の赴くままで、最終アウトプットも定まらず、手順も行きつ戻りつしながら、作業をするから、レベルが低く、そして遅いアウトプットになるのです。

冷静に部下やご自身の仕事ぶりを観察してみて下さい。

必ずスイッチング・コストが見つかるはずです。