- 水内 終一也
- 合資会社アクタリスト
- 経営コンサルタント
対象:営業
ずいぶん前になりますが、パンフレットにチラシを何枚か挟み込み、ダンポールに入れて、宅急便のラベルを貼るという作業をビジネス・マン時代にしたことがあります。
この作業、以前の担当者が行っていたときには、1〜2日掛かっていました。
でも、私が担当したら、朝9時から始めて午後3時には終了できるまで、短縮できました。
約半分の時間で済みます。
印刷所から送られてきたパンフレットとチラシの梱包を解き、パンフレットにチラシを挟んで積み上げ、100冊挟み終わったら、ダンボールに入れて、封を閉じ、宅急便のラベルを貼ります。
これをこの通りやると、スイッチング・コストだらけです。
ですので、以下のように作業を分割しました。
1.梱包を解くだけ。
2.パンフレットにチラシを挟み込むだけ。
3.数を数えるだけ。
3.ダンボールに入れるだけ。
4.封閉じするだけ。
5.宅急便のラベルを貼るだけ。
6.トラックに積むだけ。
最初はスタッフ全員で梱包を解きます。
作業台に置ききれなくなったら、梱包を解く人員を減らして、チラシの封入を開始します。
チラシの封入が終わったパンフレットを置いておくスペースが無くなったら、チラシ封入のスタッフを減らして、100の束を数えることを開始します。
100の束がつみあがったところで、数える人員を減らして、ダンボールへの箱詰めを開始します。
ダンボールの置き場がなくなってきたら、箱詰めする人員を減らして、梱包を開始します。
梱包したダンボールは運ぶのではなく、床を滑らせるように移動させ、ラベル貼り専門員に渡します。
ラベル貼り専門スタッフはラベルを貼り続づけ、置き場に困ったら、トラックに積む要員を割いて、積み込み専門スタッフにします。
これで、全体の各工程に専門スタッフの配置が完了して、流れ作業が滞りなく行えます。
時々、人員が足りないところに、手が空いたスタッフを補充します。
上位工程の方が早く終わるので、終わったスタッフは下位工程に回ります。
下位工程の人手が余り始めたら、余ったスタッフは自分の仕事に戻ります。
最後は、ほんの数名がダンボールと格闘して、全作業は終了です。
で、この作業は、最終的な積み込みのトラックに運ぶまでの一連のラインを作り、物流の円滑化を図ります。これは作業開始前に、予め設計しておきます。
監督である私は、基本的に作業をしません。全体のラインが円滑に動いているか、どこの人員が余っていて、どこが人手不足かを観察して配置換えをするのが仕事です。
こうすることで、作業時間を半分に短縮できます。
ポイントは「一工程を単純作業にまで細分化する」ことです。
上記の事例はモノを扱う作業なので、分かりやすいとは思いますが、人の知的な仕事だと、急に分かりにくくなります。
以前、お伝えした文章作成における「一作業一工程」では、ずいぶん細かい作業にまで一工程を細分化しました。
ダンボールの作業は目に見えるから分かりやすく、知的な仕事は目に見えないから分かりにくい。
ですから、文章作成の例のように、頭の中で行うことを1つ1つ書き出して、どれだけ細かく作業レベルに落としこめるかを書き出してみて下さい。
そして、どの順番で思考作業を行えばスイッチング・コストを減らせるか、一工程にどれだけ没頭すれば、短時間に、その思考作業を大量にこなすことができるか考えて下さい。
思考作業と書きましたが、頭の中であれこれ考えて、腕組みしながらウンウン唸るのではではありません。ドンドンと書き出すのです。
KJ法とかブレイン・ストーミングのようにカードやポストイットに書き出すと良いでしょう。
もしくはアウトラインプロセッサーのような高性能エディタを使っても良いでしょう。
カードやポストイットなんて文房具店で売っていますし、アウトラインプロセッサーは無料で、ウェブサイトの「窓の森」や「ベクター」で配布しています。
ちょっと独断と偏見が入りますが、私の私権をお伝えします。
「考えると称して、腕組みしてウンウン唸っているのは、実は考えているのではなく、思考停止しているか、混乱しているだけ」
ですから、バンバン書き出して、ドンドン細分化して作業レベルにまで落とし込むことが、本当に「考える」という知的な活動なんだと、私は思います。