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「自転車に乗らないように」は正しい方法か?

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社員にやる気を出させるヒントになるエピソード集 目に留まった事

 少し前の話になりますが、ある地方の市長が、自転車に乗っていた中学生の交通死亡事故があったことを受けて、市内の小中学生に「なるべく自転車に乗らないように」と呼び掛ける文書を配ったという話題がありました。

 

 禁止や制約という措置が、妥当な場合があることは確かで、特に子供のうちは、大人の管理のもとに行動させることも必要なので、その中で禁止事項が多くなってしまうのは当然という考え方もあるでしょう。

しかしそれとは逆に、危険性も承知した上で、正しい行動や方法を教えることが教育だということも言われます。禁止や制約が適切ではない場合もあるはずです。

 

 このケースではどうだったのか、はっきり言い切ることは難しいですが、私は特に最近の傾向として、少子化になってきていることで、子供たちの周りにいる大人の数が多いせいか、何かと禁止や制約という指導に傾きがちなことが多い気がしています。

 

 もちろん、それ自体が問題行動である場合は、その行為を禁止するのは当然のことで、万引きその他の犯罪行為や法律違反、飲酒やタバコといった若年層ゆえの健康に関することもそれにあたると思います。

 

 その一方で、ただ危険があるから、失敗の恐れがあるからといって禁止するという考え方では、何も身につかなくなってしまいます。

 例えば、刃物を使えば手を切ったり人を傷つけたりするかもしれませんし、スポーツであれば事故やケガの恐れがあります。病気がうつるかもしれないから人ごみには行かない方が良いし、有害な情報に接しないために、テレビもラジオもインターネットも避けた方が良いということになってしまいます。

 

 この件に関して思ったのは、例えば「自転車に乗るな」などというように、使わない、やらないなど、行動の禁止や制約だけで問題を回避することには限界があるということです。道具やノウハウやシステムを活用しながら、事故が起こらない対応策を考えるべきだと思います。

 

 子供だけに限らず、企業のような大人の世界でも、このように行動自体を禁止、制約することで、問題発生を防ごうとすることは少なくありません。

 例えば、「パソコンや資料の持ち出しが禁止」されている会社があります。セキュリティ対策ということですが、モバイルツールが発達した現在のIT環境を考えると、非効率な面もかなり多いはずです。

 

 また、「接待活動は一切禁止」という会社があります。不適切な関係を防ぐためだそうですが、望ましい関係作りも阻害している可能性があります。

 

 少し話は違いますが、上司が部下に「ミスをしないように!」などと指示することがあります。しかし、そもそも初めからミスをしたいと思う人がいるわけはありません。

 こういう時は、「気をつけろ」などという行動の禁止や制約よりも、「こうすればミスがなくなる」といった対策に向けた行動を指示した方が効果的だと言われます。

 

 何か問題が起こると、その事象そのものを排除しようと考えることは多いと思います。不可逆的なことが想定されるなら、そんな禁止や制約が望ましい時もあります。ただ、禁止や制約ではベストの解決策にならないことも、かなりたくさんあります。

 

 ただ禁止や制約をするよりも、どんな行動、どんな対策をすれば良いのかを考えることが、より正しい方法につながることが多いのではないかと思います。

 このままでは「事なかれ主義」といわれても、反論のしようがありません。

 

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