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役員分掌変更と退職の事実

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発表 税法学会
先週末14日6時からの日本税法学会関東部会(於専修大学)において、
役員分掌変更と退職の事実というテーマで学会発表をしてきました。

内容的には、6月18日に東京税理士会館で行われました
第21回租税訴訟学会研究会での発表と同じです。
その時のレジュメにその後に発表されたり、私が確認した参考文献の
一覧と、上場企業の執行役に就任したために支給された
打切り支給退職金の事件(事例3として紹介した学校法人理事長が
高校校長を退職したことによる退職金の事件と同じ裁判所・同じ日付の
大阪地裁平成20年2月29日判決、TAINSコードZ888-1330)の判決要旨を
発表資料として用意させて頂きました。

事件の詳細については、すでにここで書いていますので、
過去の記事をご参照下さい。

分掌変更に伴う退職金の支給については、法人税基本通達9-2-32が
基準とされていることは間違いありませんが、この通達の規定は
形式的に当てはめるだけでは、税務調査に基づいて否認されます。

9-2-32によれば、
(1)常勤役員が非常勤役員になったこと
(2)取締役が監査役になったこと
(3)分掌変更の後におけるその役員の給与が激減(おおむね50%以上の
減少)したこと
という3つの要件が例示されています。

多くの税理士はこの通達に従って、通達の要件に該当するように
クライアントを指導されていることと思います。

しかし、最高裁平成19年3月13日判決(TAINSコードZ888-1249)を始めとして、
多くの事例では、実質的に見て退職の事実がないとして、
支給された退職金の退職所得性を否認し、役員賞与とされています。

最高裁平成19年3月13日判決をよく読んでみると、形式的には、
完璧に通達の要件を満たしています。
しかし、退任したはずの前社長が従前どおり対外的に中心として経営活動に
従事していますし、主要な取引先が、形式的に社長が交代した2年半後も
前社長のことを社長であると誤認していたこと等、社長の交代は名目的な
ものに過ぎないような実態が、事実認定により明白となっていることから
「退職の事実がない」として否認されているのである。

分掌変更による退職金の退職所得性が容認されている平成18年11月28日裁決
(TAINSコードF0-2-277)の場合には、退任した社長に実権がないことが
事実認定から明白である。2つの大阪地裁平成20年2月29日判決(理事長事件
TAINSコードZ888-1319、打切り支給事件TAINSコードZ888-1330)は、他の従業員と
同様の基準において支給されている退職金を受け取っており、労働契約上も
契約が異なる雇用となっていることが重視されたのであろう。
(労働契約上の点の示唆は、脇谷弁護士の指摘により気付きました。
今後の研究の糧にさせて頂きます。ありがとうございました。)

事実認定により「退職の事実」が認定されていることを鑑みると、
我々税理士は、通達の文言を形式的に当てはめるのではなく、
その趣旨に基づいて、実質的に検討する必要があろう。
この点は、月刊税務事例に掲載させて頂いた論文でも引用させて頂きましたが、
山本守之先生が以下のようにおっしゃっている通りである。
「法人税基本通達9-2-23(当時、現9-2-32:カッコ内筆者)の(1)、(2)、(3)
は実質的な退職を判定するための通達上の要件を示しているものにすぎず、
退職の事実はあくまでも実質により判定すべきである。また、同通達の
(1)から(3)は通達が示した例示にすぎず、役員としての地位の激変は実質的に
判定すべきであり、通達に頼って税務の解釈をすることは危険である。
通達を適用する場合には、適用上の背景を無視してはならない。」
(山本守之「役員の実質的退職の判定と通達の役割」月刊税務事例39巻1号)

最高裁平成16年7月20日判決(平和事件最高裁判決、TAINSコードZ888-0862)は、
「税理士は専門家としての責任において、解説書の記述を判例等を考慮した
上で検討しなければならないことを要求していると考えられ、その上、
自己の判断の根拠とリスクについて、依頼者に対する説明責任さえ負っている
ことを、我々税理士は肝に銘じなければならない」
(拙稿「税理士の専門家責任」税法学554号)のである。

我々税理士はプロフェッショナルの独占事業者として国家からお墨付きが
与えられている意味をよくよく考える必要があろう。

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