親会社が子会社の付与するストックオプションの性質 - 会計・経理全般 - 専門家プロファイル

平 仁
ABC税理士法人 税理士
東京都
税理士
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親会社が子会社の付与するストックオプションの性質

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発表 税法学会
平成16年6月愛知大学で行われた日本税法学会大会で発表しました。論文は税法学551号に掲載しました。
所得分類の問題を考えると、労務の対価は次の3パターンに分かれる。
1 雇用契約・・・給与
2 委任契約・・・給与(役員報酬)、事業、雑
3 請負契約・・・事業、雑
また、一時所得の範囲は、8つの分類に当てはまらない一時的な所得で、1営利を目的とする継続的行為、2労務その他役務の対価、3資産の譲渡の対価、以外の所得となる。
そうであるとすると、ストックオプションの性質は、
権利付与時・・・現在及び将来に渡る労務に対するインセンティブ報酬だから給与
権利行使時・・・権利被付与者の投資判断により権利行使時点を判断するものだから譲渡
株式譲渡時・・・株式保有者の投資判断により譲渡時点を判断するものだから譲渡
となる。
課税関係は税制適格か非適格かで分かれる。
 適格・・・権利行使時には課税繰延、株式譲渡時に譲渡課税
非適格・・・権利行使時の課税が一連の訴訟になる。株式譲渡時は譲渡課税
なぜ権利行使時の課税が一連の訴訟になるのか。
 権利付与時に課税しないため、行使時の性質に給与と譲渡が混在する。
ところが、混在するということは、上記一時の23に該当するから、一時所得に該当しない。
グループ企業の役員も企業グループの価値を向上させることに貢献していることを鑑みると、広い意味で労務の対価に近似する性質をもつとすると、給与課税が妥当。
しかし、役員報酬は株主総会の決議事項であり、権利行使利益を会社が管理し得ず、株主総会決議の役員報酬上限額を超えた場合はどうするのか等、給与課税には問題が多く残る。
したがって、雑所得と捉えるべきではないか。

発表後、最高裁平成17年1月25日判決において、一時か給与で争われた一連の訴訟は給与であるとして一応の決着を見た。しかし、本稿において指摘した問題は積み残されたまま残っている。