消費税論議、本格化するか? - 会計・経理全般 - 専門家プロファイル

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消費税論議、本格化するか?

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税制改正 現行制度批判
麻生首相は、条件付ながら3年後の消費税引き上げを明言しました。

先送り?とも言われているものの、解散・総選挙が近いものとして
動いてきた昨今の政局の中で、
首相のこの発言は非常に勇気がいるものだったと思います。

しかし、消費税に関しては、他の法律との関係も含めて、
問題の多い税制であることは間違いない。

少子高齢化の進展の中で、消費税の重要性が高まっていることは間違いないが、
ヨーロッパで発展した付加価値税(VAT)の流れにあるわが国の消費税法は、
世界のVATと比して特徴的な点も多いが、VATの基礎となる部分を
わが国の実情に合わせて直していないためか、他の法律との整合性に問題がある。

まず、仕入税額控除の本質論であろう。
最高裁平成16年12月16日判決(TAINSコードZ254-9860、判タ1175号135頁)や
最高裁平成16年12月20日判決(TAINSコードZ254-9870、判タ1176号130頁
判時1889号42頁)等で判例・通説は固まりつつあるように思うが、
特に12月20日判決における滝井裁判長の少数意見に耳を傾ける必要があろう。

判例は仕入税額控除の本質を特典説に基づいて、規定どおりに
帳簿及び請求書の保存がなければ仕入税額控除を適用できないとしているが、
滝井裁判長は、売上があればそれに対応した仕入があるはずだと考え、
当然説の立場から、痛烈な少数意見を書いている。

法人税や所得税は、売上に対応した仕入を当然のものとして推計課税の規定がある。
しかし、消費税には、推計課税の規定は存在せず、消費税法30条8項9項に
わが国の商法に規定されない帳簿等の記載要件を掲げ、記載要件を満たさない
場合には、仕入税額控除を認めない、という構成になっているのである。

これは、消費税法の母法と考えられるフランスVATやドイツVATも
同じ構成であるから、わが国の法実態を考慮せず、
そのまま導入してしまったことが考えられる。

しかし、フランスやドイツには、商法上に明確な帳簿要件があり、
完全なる商業帳簿でないのであれば、ペナルティーを受けるのは当然という
考え方に基づくものである。

わが国でも明治17年にロエスレルが起草した商法草案では、
完全なる商業帳簿を要求していたが、商法典論争において、
商売をやるためには、帳簿をつける人間を雇わなければならないのか、
等の反対意見が強く、明治23年旧商法では、ただ商業帳簿があればよいという
規定に落ち着いたという経緯があった。
また、青色申告制度が導入されたのも、昭和24年のシャウプ勧告において、
まともに帳簿を作成できていない現実が明らかになり、
申告納税制度の発展のため、帳簿を作って、帳簿に基づいて申告するなら、
特典を付けますよ、ということがきっかけになっている。
青色申告制度は、導入から60年が経とうとしている現在でも
帳簿に基づいて申告できる納税者に対する特典のままであり、
多くの税理士も記帳代行(つまり納税者は帳簿をつけていない)で稼いでいる
現状は、未だに帳簿をつけられない納税者が多いことを物語っている。

しかし、会社法432条は「適時に適正な会計帳簿を作成しなければならない」
と規定し、少なくとも法人においては、税理士に記帳代行を頼み、適時に
作成できていない(うちの事務所ではある程度の時間をもらっています)
現状は、会社法違反ということである。

わが国の帳簿規定の理想と現実は、仕入税額控除の前提条件を否定するわけだから、
消費税が厳格な会計帳簿を要求し、それを当然のことであるというのであれば、
簡易帳簿で許される青色申告制度に既に意味はない。
消費税業者に関しては、即刻、青色申告制度の適用要件を厳格化し、
青色申告を特典ではなく、適正な帳簿を作成できない者へのペナルティーにしなければ、
所得税・法人税と消費税との制度設計上、齟齬をきたすことになる。
さもなければ、消費税法30条8項9項は即刻廃止されるべきであろう。
また、滝井裁判長の少数意見を取り込み、
消費税においても推計課税規定を置くべきである。

廃止、推計規定以外のことについては、私は既に国士舘法学第38号(2006年)に
「青色申告制度の帳簿要件」というタイトルで、論文を公表しています。

次に、単一税率の問題である。

消費税反対論者の多くは、経済的弱者に負担を求める逆進的な制度であるとして
批判をされているように思われる。これは、わが国固有の問題で、
わが国の消費税は、他国に類を見ない、殆ど全ての物・サービスに一律に
同率の課税を行う制度として設計されているからである。

例えば、イギリスのように、食料品をはじめとする生活必需品に0%課税する
ということも考えられてしかるべきであろう。
しかし、複数税率を導入する場合に、何が必需品で、何が奢侈品かを
明確に分類する必要があろう。

例えば、コメである。コメは日本人の主食であるが、
全てのコメが必需品とはいえないであろう。
南魚沼産コシヒカリのようなブランド米はどうだろうか。

フランスでは、庶民が飲むワインのほうが、
外国に輸出する水より税率が安い場合もある。

経済財政諮問会議が10月31日の会議で検討した社会保障のために必要な財源は
消費税を8%にする必要があるというものであったが、
国民感情からすれば、生活必需品の税率を引き下げ、
その代わりにその他のものを15〜20%にしても納得できるのではないだろうか。

政府には難しい線引きが必要ではあるが、
複数税率の導入を是非とも検討して頂きたい。

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