年金関係課税事件(4・一括収受公的年金地裁判決) - 会計・経理全般 - 専門家プロファイル

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年金関係課税事件(4・一括収受公的年金地裁判決)

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発表 実務に役立つ判例紹介
支給日が後になった老齢厚生年金の支給の時期が争われた
山形地裁平成18年12月5日判決(TAINSコードZ888-1358)
仙台高裁平成19年3月27日判決(TAINSコードZ888-1359)
最高裁平成19年9月25日判決(TAINSコードZ888-1360)
を紹介しよう。

今日は、山形地裁を紹介する。

1.事案の概要
本件は、いずれも配偶者控除の額が38万円、配偶者特別控除の額が8万円
になるとした原告の平成12年分及び同13年分の所得税の各確定申告につき、
被告が、原告の配偶者の平成12年分及び同13年分の各合計所得金額が
38万円を超えていて配偶者控除の適用を受けることができないとして
本件更正処分をしたところ、原告が本件更正処分の取消を求めた事案である。

2.前提事実
(1)平成10年6月から、A(原告の妻)は、国家公務員共済組合連合会から
退職共済年金を受給しており、平成12年分の年金額は103万9968円であり、
同13年分の年金額は104万円であった。

(2)平成14年10月10日、山形社会保険事務所長は、Aに対し、
Aの老齢厚生年金について社会保険庁長官により裁定が行われた旨の通知し、
平成14年11月15日、老齢厚生年金26万0766円がAに支払われた。
支払われた年金額の内訳は次の通り記載されていた。

9年11月〜10年3月 5ヶ月  年金額52000円 支払額21666円
10年4月〜11年3月 12ヶ月 年金額52900円 支払額52900円
11年4月〜12年3月 12ヶ月 年金額53200円 支払額53200円
12年4月〜14年9月 30ヶ月 年金額53200円 支払額133000円

(3)原告は、法定申告期限内に、平成12年分及び平成13年分の確定申告書を
提出した。平成12年分の確定申告書には、Aの合計所得金額が33万9968円、
配偶者控除の額が38万円、配偶者特別控除の額が8万円である旨記載されていた。
平成13年分の確定申告書には、Aの合計所得金額が34万円、配偶者控除の
額が38万円、配偶者特別控除の額が8万円である旨記載されていた。

(4)被告は、平成15年7月18日付で、原告に対し、平成12年分の所得税の
確定申告について、Aの受給した老齢厚生年金のうち平成12年の収入金額と
すべき金額が5万3200円になり、Aの合計所得金額が39万3168円であり、
配偶者控除の適用を受けられず、配偶者特別控除の額が38万円になるとして、
課税所得金額を17万2000円、所得税額を1万3700円とする更正処分を行い、
平成13年分の所得税の確定申告について、前記老齢年金のうち平成13年の
収入金額とすべき金額が5万3200円になり、Aの合計所得金額が39万3200円
であり、配偶者控除の適用を受けられず、配偶者特別控除の額が38万円に
なるとして、課税所得金額を16万7000円、所得税額を1万3300円とする
更正処分を行った。

3.争点
(1)Aが老齢厚生年金の受給資格を得た時期
(2)Aが受領した老齢厚生年金の収入の帰属時期

4.裁判所の判断
(1)争点1について
(ア)Aは、平成9年10月に満60歳となっていたのであるから、平成9年
10月に厚生年金保険法附則8条1号の要件を満たしたといえる。

(イ)Aは、昭和35年7月から昭和36年2月までの期間及び昭和57年8月から
昭和58年2月までの期間の合計13ヶ月間、厚生年金保険法上の被保険者の
資格を取得していたのであるから、平成9年10月の時点において、1年以上の
厚生年金保険法上の被保険者期間を有しており、同法附則8条2号の要件を
満たしたといえる。

(ウ)昭和35年7月から昭和35年2月までの7ヶ月間は、Aが厚生年金保険法
上の被保険者であったのであるから、同法附則14条1項に定める合算対象
期間に算入される。昭和36年3月から昭和57年5月までの間、Aはブラジルに
在住していたのであるから、この期間のうち、昭和36年4月以降の
253ヶ月間は、前記合算対象期間に算入される。昭和57年8月から昭和58年
2月までの6ヶ月間は、Aが厚生年金法上の被保険者であったのであるから、
同法附則14条1項所定の保険料納付済期間に算入される。昭和58年2月から
平成10年3月までの間、Aが国家公務員共済組合の組合員であったので
あるから、この期間のうち、Aが満60歳に達した平成9年10月の前月までの
176ヶ月間は、前記保険料納付済期間に算入される。
よって、Aの前記保険料納付済期間が182月、Aの前記合算対象期間が
260月になるので、厚生年金保険法附則14条1項により、Aは同法42条
ただし書に該当せず、平成9年10月の時点において、同法附則8条3号の
要件を充足することとなる。

(2)争点2について
(ア)所得税法は、現金収入がなくても、その収入の原因となる権利が
確定した場合には、その時点で所得の実現があったものとして前記権利
確定の時期に属する年分の課税所得を計算するという建前(いわゆる
権利確定主義)を採用しているものと解される。そして、収入の原因となる
権利が確定する時期はそれぞれの権利の特質に考慮して決定されるべきである。

(イ)社会保険庁長官の行う裁定は基本権たる受給権の存在を公権的に
確認する行為であるにすぎず、裁定を受けることによって具体的に
請求できるとされているのも、画一公平な処理により無用な紛争を防止し、
給付の法的確実性を担保するためであって、厚生年金保険法の定める
年金給付に係る受給権は、同法の定める受給要件を満たした時点で
基本権が発生し、その後支給期日が到来することにより、支分権が発生し、
受給権者が裁定の請求さえすればいつでも年金の支給を受けることができる
状態にあるから、その支給期日が到来した時点で年金の支給を受ける
権利が確定したものと解される。
また、法令に定められた支給日をもって当該年金の収入すべき時期と
解すれば、納税者が恣意的に所得の帰属年度を操作する余地を排して
課税の公平を図ることができるのに対し、裁定により一時に支払われる
こととなった老齢厚生年金の収入すべき時期を当該裁定時と解したのでは、
受給権者が裁定の請求を遅らせることによって所得の帰属年度を人為的に
操作する余地が生じるなど、納税者の恣意を許し、課税の公平を
害することとなる。
よって、老齢厚生年金については、厚生年金保険法36条に規定された
支払期日が到来した時にその支給を受ける権利が確定すると解される
のであるから、裁定により前年分以前の老齢厚生年金が一時に支払われる
こととなった場合には、厚生年金保険法36条が定める支払期月の属する
年分の収入金額として課税所得を計算すべきである。

(ウ)Aは、平成9年10月にいわゆる特別支給の老齢厚生年金の受給資格を
取得したことにより、前記年金に係る基本権は同月発生する。
Aが平成14年11月15日に受領した老齢厚生年金26万0766円のうち、
平成12年及び同13年に支払期日の到来した同年金の額がそれぞれ
5万3200円であることから、Aの課税所得を計算する際に同年金
について平成12年及び13年の収入金額とすべき金額はそれぞれ
5万3200円になるというべきである。
Aの課税所得を計算するにあたって、平成12年及び13年分の収入金額
とすべき老齢厚生年金の金額のほか、Aが国家公務員共済組合連合会
から受領していた退職共済年金の金額から、Aの雑所得の収入金額は、
平成12年分が109万3186円、同13年分が109万3200円となる。Aの合計
所得金額は、平成12年分が39万3168円、同13年分が39万3200円となる。
よって、Aは、原告の控除対象配偶者に該当しない。

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