年金関係課税事件(5・一括収受公的年金まとめ) - 会計・経理全般 - 専門家プロファイル

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年金関係課税事件(5・一括収受公的年金まとめ)

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発表 実務に役立つ判例紹介
山形地裁では、納税者の主張が一切受け入れられなかったこの事件は、
仙台高裁、最高裁と控訴、上告されました。

ここでは、高裁、最高裁を紹介しましょう。

まずは、仙台高裁平成19年3月27日判決です。

控訴人は、地裁判決を受けて、高裁において、次のような主張を加えました。

Aは、平成9年10月の時点では、厚生年金保険の被保険者期間が253ヶ月と
算出され、受給に必要な期間である300ヶ月に満たなかったため、
老齢厚生年金の受給要件を満たさなかった。合算対象期間は、退職共済年金と
老齢厚生年金の受給要件を判断するにつき、重複して考慮することは許されない。

これをうけて、高裁は、原審引用判決の上で、次のように判断しました。

平成9年10月の時点におけるAの老齢厚生年金の受給資格につき、保険料納付
済期間が182月、Aの前記合算対象期間が260月となるので、厚生年金保険法
附則14条1項により、Aは、同法42条ただし書に該当せず、平成9年10月の
時点において、同法附則8条3項の要件を充足することとなることは、原判決
説示のとおりである。そして、Aに関して退職共済年金と老齢厚生年金の
受給要件を判断するにつき、合算対象期間を重複して考慮することが出来ない
とする規定はなく、これが許されないと解すべき根拠はない。

控訴人は、本件請求を不作為の違法確認請求であるかのごとき主張をする
けれども、控訴人の請求の趣旨に照らせば、控訴人の請求は更正処分の
取消請求と解されるから、この点に関する控訴人の主張はその前提を欠くもの
であり、控訴人の原判決の判断を批判するその他の主張ともども、原判決の
説示に照らして採用し難い。


つまり、全面敗訴であった。
更に、最高裁は、以下の理由により、棄却された。

民事事件について最高裁判所に上告することが許されるのは、民事訴訟法
312条1項又は2項所定の場合に限られるところ、本件上告理由のうち、
違憲及び理由の不備・食違いをいう点は、その実質が単なる法令違反を
主張するものであって、明らかに上記各項に規定する事由に該当せず、
同項4号又は5号に規定する事由をいう点は、その主張自体から明らかに
上記各号に規定する事由に該当しない。


つまり、最高裁は事実認定を争う場ではなく、あくまで法律解釈を争う
場であるから、高裁までに争われた前提事実に事実誤認があったり、
法律の適用の前提となる事実認定に重要な誤りがある場合を除き、
最高裁では門前払いを食らうことになる。
事実については、地裁・高裁で十分議論したでしょ、というのが
最高裁の立場なのである。
本件についても、高裁では新事実・新証拠が何もでていない。
これで最高裁に上げても、99%棄却でしょうね。


本件では納税者敗訴であるが、本件判決の実務に与える影響は多大なもの
になる危険性を大いに孕んでいる。
昨今の年金不信により、自分の年金に関心が高まっているが、
それにより、自己の年金額に誤りがあることが判明した場合には、
この判決の射程範囲に入ることが予想されるところである。

本来受給されるべき時期の年金収入が過少に申告されていたため、
誤りが判明した時に支給された年金額を、
本来の時期に遡って見直す必要があることを示唆しているからである。

地裁判決で、「法が定める支給期日」(つまり、本来の支給日)
「の属する年分の収入金額として課税所得を計算すべき」
と判示したように、権利確定主義からすれば、本来の時だ、というのである。

また、注意しなければならないのは、
現行では60歳から支給を選択しない限り65歳から支給される年金であるが、
65歳からを選択しても、長崎事件の論理を考慮に入れると、
60歳を過ぎれば支分権は成立するから、
60歳から年金等の雑所得があることになるというのか。

本件の射程範囲を考えたとき、現行年金制度のずさんさが
税金にまで影響を与えかねない事態を引き起こしていると感じてしまう。
何とかしなければならないですね。

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