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山中 昇
山中 昇
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白尾 由喜子
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閲覧数順 2024年04月25日更新

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[英語は幼いうちに]は大きな間違い

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日本の英語教育

小学校で英語が必修化されて5年経ちました。

余りにも英語が出来ない日本人をなんとかしようとの、必死の試みだったと思います。

 

果たして効果のほどは?

 

先日発表された文部科学省の調査によると。

小学校から英語を学び始めた現在の中学生の英語力は、国の目標には遠く及ばず、基本的な能力さえおぼつかないとか。

 

効果はなかったということです。

 

それにもかかわらず、日本中であいも変わらず、「子供時代から英語を身につけさせようとする動き」が加速しているそうです。

 

脳の発達過程から、どう科学的に検証しても、「幼いうちに英語を始めても」お金と時間の無駄にしかならないのに。

 

日本で50年以上の長きに渡り続いている「英語は幼い時から!」の結果をまるで無視した愚かな狂乱風景に見えて滑稽です。

どんな制度を作ろうが、どんなに幼い時から似非英語環境を経験させても、効果がないことは「日本人の英語レベルが全然上がってないこと」で明らかなのに、なぜいつまでも続けるのか不思議です。

 

「英語特区」とやらを作りALT を多く配置し、1年生から英語の授業を教科する小学校。

似非英語環境を売り物にするいわゆる「国際学校」も学費を取って豪勢に生徒を集めているそうで。

2020年度には小学5・6年生で英語は正式の教科になるそうですね。

 

末期的な教師の質はさておいても、一体何を根拠にそんな意味のないことに突き進んでいるのか、教育の中に科学のない日本の典型的な感情論でしょうか。

 

「日本人は英語が出来ない!」「出来るようにしないと!」「早くから始めてみた!」「効果がなかった!」「正式な科目にして無理やり勉強させたら何とかなるのでは!」ですか?

 

 

以前からコラムやQ & A で「日本で生活する子供の早期英語教育は役に立ちません」と述べて来ました。

脳科学、発達心理学、言語心理学などからの科学的根拠と共に、36年に渡る日本での英語指導経験からの観察に基づいたものです。

 

「脳」が外国語の概念を認識し始めるのは大体10歳前後。

具体的な事実のみでなく、事実を組み合わせた抽象的な概念を理解し始めるまでは非効率的極まりないです。

 

それまでは、週に何時間英語教室に連れて行こうが、学校で似非英語環境を作ろうが、吸収した英語は断片的にバラバラで脳に収納されてしまいます。

普段の生活で使用することのないそれら断片的情報は、一定時間が経つと泡が消えるように消滅してしまいます。

 

つまり、かけたお金も時間も無駄だということになります。

消滅します。

日常生活でも、使わない記憶はすぐに消えるのと同じです。

 

「折角小さい時から英語を習わせているのに、何も身についていない!」

と、感じている親のみなさんは非常に多いのではないでしょうか?

そういうわけでした。

 

10歳前後になると、収納した事実を合わせて考える能力が身についてきます。

普段の生活と全く関係ない英語の情報も、脳から呼び戻し、自分の持っている他の情報と合わせる能力がついてきます。

 

そこからです。

飛躍的に脳が外国語を覚え始めるのは。

 

 

ただし。

人間に組み込まれている遺伝子通り、健康に脳が発達している10歳(前後)の子供に限ります。

 

幼い時から、ダンスや音楽、スポーツ、おまけに塾などでスケジュールびっしりの生活を送って来た子供たちの脳は、自分で考えることを止め、与えられる事実のみを「怒られないように」受け取ることに専念してしまい、発達をあきらめたように見えます。

 

ですから、情報の統合などとんでもない。

英語を抽象的に理解する能力など10歳どころか、高校生になっても持っていない日本の子供をずいぶん観察して来ました。

 

大人になっても同じだと感じています。

そこに「日本総英語出来ない現象」の根があるのかも。

 

「英語を抽象的に理解」し始めてまず子供が感じるべきこと。

「なぜ?」です。

全く背景の異なる英語言語を理解し始めて「なぜ?」を感じないわけがありません。

 

本当の英語に接した瞬間から、余りの違いに「なぜ?」の嵐のはずです。

本物の英語とは、日本人の目から見た日本式英語のオンパレードである中学・高校の英語教科書、フレーズ羅列の会話本などからは、180度異なるところにあるものです。

(しかし、日本の英語教科書は一種のエンターテインメントですね。 あそこまで英語の世界を日本化するんですねぇ。)

 

その「なぜ?」を感じることが出来たら、そこから子供の脳は新しい概念である英語をどんどん吸収し始めます。

 

幼少期は、「なぜ?」を感じ取る脳の準備がいっぱい出来るよう、ふんだんに自由な時間を持つこと。

ぼ〜っとしててもいいんです。

その間も脳は人類の遺伝子に組み込まれている、観察力と好奇心をどんどん育てているはずですから。

 

 

「英語は幼いうちに」狂乱。


さて。


Good luck, Guys.

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(カナダ留学・クリティカルシンキング専門家)
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カナダ 在住。パンデミック後のNew Normal 留学をサポート。変わってしまった留学への強力な準備として UX English主催。[Essay Basics] [Critical Thinking] など。カナダから日本に向けての本格的オンライン留学準備レッスン・カナダクラブ運営。

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