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税法における住所ってドコですか?(7ユニマット地裁)

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発表 実務に役立つ判例紹介
今日と明日でユニマット事件を検討したい。
ユニマット事件は、
東京地裁平成19年9月14日判決(TAINSコードZ888-1301)
東京高裁平成20年2月28日判決(TAINSコードZ888-1320)
のことであり、納税者勝訴で確定している。

今日は、東京地裁平成19年9月14日判決を紹介する。

<事件の概要>
 本件は、処分行政庁が、平成13年分の株式譲渡所得に係る
決定処分等をしたところ、原告は、海外において株式を譲渡
した時期(平成13年1月12日)には日本国内に住所を有して
いなかったので納税義務を負う居住者ではないと主張して、
決定処分等の取消しを求めた事案である。

(1)住所の定義
住所とは、各人の生活の本拠を指すものと解するのが相当であり
(最高裁昭和29年10月20日判決)、生活の本拠とは、
その者の生活に最も関係の深い一般的生活、全生活の中心を
指すものである(最高裁昭和35年3月22日判決)。
そして、一定の場所がその者の住所であるか否かは、租税法が
多数人を相手方として課税を行う関係上、客観的な表象に
着目して画一的に規律せざるを得ないところからして、
一般的には、住居、職業、生計を一にする配偶者その他の
親族の居所、資産の所在等の客観的事実に基づき、総合的に
判定するのが相当である。これに対し、主観的な居住意思は、
補充的な考慮要素にとどまるものと解される。

(2)原告の住所について
住民票の記載上、原告の住所は平成12年12月4日をもって
シンガポールに転出したことになっているところ、原告のシンガポール
及び日本の各滞在日数については(略)、有意の差はないもの
といえる。しかしながら、原告は、(略)日本に帰国する都度、
Kホテル等の宿泊施設にチェックインして滞在し、日本を出国する都度、
同施設をチェックアウトするなどしていた状況を認めることができる
ところ、このような状況に照らせば、この間、日本国内において
原告の住居といい得る場所は存在しない。

原告は、(略)シンガポールのFアパートを平成12年12月から
同14年11月まで継続して賃借し、同月7日にはNHKの番組を
視聴するためにケーブルテレビの加入契約を締結するなどして、
シンガポールに滞在する間はFアパートで起居していたと認める
ことができること、これについて、被告は、Fアパートにおける
滞在はホテルにおける滞在と実質的に大差がない旨主張するが、
その賃貸借期間の長さや、Fアパートがキッチンなどを備え、日常生活を
送るに十分な設備を有しているものと認めることができること、
原告がシンガポールを離れ、日本その他の地域に滞在する間も、
身の回りの品などの動産をFアパートに置いて保管することが
可能であったことなどの諸事情を勘案すると、上記期間における
原告の住居は日本国内には存在せず、むしろシンガポールに存在した
ものと認めるのが相当である。

(3)原告の職業について
被告は、原告とHの間の本件特別顧問契約について、少なくとも
本件譲渡期日である平成13年1月12日の時点においては、
原告がHの特別顧問としての活動をしていなかった旨主張する
(略)。しかしながら、原告とHの間では、特別顧問契約に基づく
報酬が本件特別顧問契約に基づく報酬と相殺されて、原告が本件
特別顧問契約から現実に収入を得ることができないことが約定
されていたことにかんがみれば、本件特別顧問契約等を締結した
原告のそもそもの意図としては、(略)Hと協力又は提携関係を
築き、ヘッジファンドを運営するHから株式取引等に関する助言を
受けて本件関係会社のために行う株式取引等から収益を上げる
こと(略)などが主たる目的であったと認めることができる。
この点、原告は、平成12年12月4日にシンガポールに渡航して
間もなくHの事務所等において株式取引を開始しているところ、
インターネットによる取引という性質上、日本に滞在しなければその
取引が困難となるものとはいえず(略)、日本国内においては
同年3月ころに証券取引法違反に係る有罪判決が確定し、
このころ営んでいた経営コンサルティング業も不調であった原告としては、
むしろHからの助言等を適時に受けることができるシンガポールに
おいて株式取引に従事する方が、より多くの収益を上げることが
期待できる(略)などの事情に照らせば、具体的に原告の業務が
開始されていなかった(略)としても、(略)株式取引を開始した
ころから、原告の職業上、その生活の本拠がシンガポールに移転した
ものと見ることが可能である。

(4)原告が国内において生計を一にする配偶者その他の親族を
有するか否かについて
本件譲渡期日当時、日本国内において生計を一にする原告の家族
又は親族は存在しなかったことが認められる。
本件株式譲渡契約を締結するような経済規模を有する原告の家族
又は親族間における(略)経済的支援をもって、直ちに原告の住所が
日本国内にあったと認めることはできない。

(5)資産の所在について
本件譲渡期日前後において、確かに原告はシンガポールにおける
よりも日本において多くの資産を有していたものと認められるが、
さりとて必ずしも原告が日本に居住しなければその使用、収益
若しくは処分又は管理等が困難であるといえる資産が存在した
とまでは認めることができず、したがって、資産の所在をもって、
本件譲渡期日当時、直ちに原告が日本国内に住所を有していたと
認めることはできない。

(6)租税回避目的について
原告が我が国における課税を回避するためにその住所をシンガポールに
移転させたものとうかがう余地もあり得るが、他方において、
住居、職業、生計を一にする配偶者その他の親族の居所、資産の
所在等の客観的事実に基づき総合的に判断した結果、本件譲渡期日
当時、原告が日本国内に住所を有していたと認めることができない
ことは上記のとおりであり、そうである以上、原告が日本国内に
真実の住所を有していたにもかかわらず、シンガポールに住所がある
ように偽装したと認めることはできず、この限りにおいて、
原告が租税回避を目的としていたか否かによってその住所の
認定が左右されるものではない。


ユニマット事件の地裁判決は、以上のような判断で、原告の住所が
日本ではなくシンガポールにあるとして、課税処分を取り消す判決が
下されている。

では、高裁はどうだったのか。次回検討することにしよう。

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