【パッシブ発想に基づく省エネルギー住宅−4】・・・日照への工夫-1
「自然を受け入れる」ということが前提のパッシブシステムですから、気候風土に注目しましょう。
日本の場合は、四季の移り変わりが最大の特徴です。
住宅は暑い夏、寒い冬の両方に対応できる必要があります。
太陽光を考えると、夏は暑いので日射は室内に入ってほしくないが、冬は寒いので日差しがありがたいと誰しも感じることでしょう。
こんな都合のいい要求にこたえてくれるのが庇です。
窓の上に庇があると、夏の上方からの日射は庇に遮られて室内には入りません。
逆に冬は真昼でも太陽はあまり高く上がらず日差しは斜めからさすため、庇をかいくぐって室内まで入りこみます。
このように庇は、夏冬の日射を上手に制御するパッシブシステムになっているのです。
庇のこの仕組みは南向きの窓にはあてはまりますが、東や西では効力を発揮しません。
夏も冬も横から日がさすので、夏の日差しだけを遮るということができないのです。
こういう知恵があったからこそ、日本人は昔から南の日差しにこだわってきたのでしょう。
太陽光を室内に十分取り入れれば、電灯は使わなくてすみます。
この当たり前なことも採光の工夫を意識的に行うとさらに省エネルギーにつながります。
たとえばトップライトです。
トップライトは同じ大きさの窓と比べて数倍の明るさを得られるので、たとえば北側の奥まった暗い部屋に設けると一気に明るくなります。
ただし、不用意に日射熱まで入れると夏熱くて仕方がなくなるので、注意が必要です。(つづく)
このコラムの執筆専門家
- 西島 正樹
- (東京都 / 建築家)
- 西島正樹/プライム一級建築士事務所 建築家
一人ひとりの生き方と呼応し、内面を健やかに育む住宅を
家づくりを大切に考えることは、生き方を大切に考えることにつながるのではないでしょうか。一人ひとりの生き方、考え方に呼応してこそ、住む人の心を育む建築空間が生まれます。この世にひとつだけの家づくり。ぜひ、ご一緒できればと願っています。
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