【パッシブ発想に基づく省エネルギー住宅−3】・・・アクティブとパッシブ
具体例を通してアクティブシステムとパッシブシステムを比較してみましょう。
たとえば太陽の光を利用する方法です。
最近話題の太陽光発電は半導体が組み込まれた専用パネルに太陽光をあてて電気を発生させます。
特殊な機械を使い、光から電気という質の違うエネルギーを取り出す点で典型的なアクティブシステムです。
一方、太陽の光で水や空気を暖めてお湯や暖房として利用する場合は、日射熱をそのまま熱として受け入れて利用している点でパッシブシステムに属します。
アクティブシステムは、より使いやすい質への変換と引き替えに利用価値のない副産物が生まれたり、特殊な機械の製造段階で廃棄物が発生したりします。
パッシブシステムは、そこにあるものをそのまま利用することが基本のため廃棄物を出しません。環境保護の立場と合致したシステムといえます。
私たちは昔から、このパッシブな方法を身近な生活習慣として身につけてきました。
たとえば、窓からの採光、雨戸の開閉、洗濯物の天日干し、風通しで涼をとる、夏の打ち水などです。
これらは身の回りにある自然力を生かし、無駄なく使おうという素朴な感覚、いわば捨てるのは「もったいない」という思いにもとづく生活の知恵といえるでしょう。
この考え方を推し進めて、自然の恵みをさらに有効利用しようという家づくりが「パッシブな発想に基づく家づくり」です。(つづく)
このコラムの執筆専門家
- 西島 正樹
- (東京都 / 建築家)
- 西島正樹/プライム一級建築士事務所 建築家
一人ひとりの生き方と呼応し、内面を健やかに育む住宅を
家づくりを大切に考えることは、生き方を大切に考えることにつながるのではないでしょうか。一人ひとりの生き方、考え方に呼応してこそ、住む人の心を育む建築空間が生まれます。この世にひとつだけの家づくり。ぜひ、ご一緒できればと願っています。
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