税務調査(3・本坊事件2) - 会計・経理全般 - 専門家プロファイル

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税務調査(3・本坊事件2)

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税制改正 現行制度批判
前回に引き続き、本坊事件を紹介し、税務調査の問題について検討する。

神戸地裁では、原告の全面敗訴であり、大阪高裁でも敗訴して、
本坊事件は確定している。
大阪高裁でも事実認定に基づいた判断を下している点は注意が必要であろう。
以下に大阪高裁の判断を見てみよう。

 質問検査権の意義については、地裁同様、最高裁判決を引用している。

 しかしながら、実定法上特段の定めのない実施の細目について、
上記のような範囲において税務職員の裁量権があるというものの、
質問検査の必要性においても、私的利益との較量における社会通念上の
相当性においても、実際の調査の場面において、その判断を一義的に
することは容易ではなく、税務職員と調査対象者との間でトラブルと
なることも少なくなく、行きすぎた調査によって納税者の権利が侵害される
事態も見られるところである。このようなトラブルを回避し、
納税者の権利が不当に侵害されることを防止するためには、税務行政における
適正かつ具体的な手続規定を定めること等とともに、税務の専門家であり、
税務代理・代行権を有する税理士が調査に立ち会ったり、調査対象者に
適切な助言・指導・援助を与えることは重要である。

 確かに、調査の必要性がある場合であっても、事務運営指針等が示すように、
原則として、事前に調査対象者に対し通知することが税務行政上望ましいと
されており、前述のように、これらの定めは、納税者の権利保護の観点から
重要であるから、みだりに無予告調査を行うべきではない。
 しかし、在りのままの実態を把握するためには、事前通知をすることなく
調査を敢行することが相当な場合もあるのであって、事務運営指針においても、
無予告調査が許容されるものとされており、また、法律上、
事前通知が質問検査権行使の必須の要件であるともいえない。
しかも、無予告で調査に臨場しても、調査対象者あるいはその委任している
税理士が調査に応じることを承諾しなければ、実際には調査を実施することは
できず、改めて調査日時等を協議するしかなく、無予告での調査
(いわゆる「抜き打ち調査」)は奏功しないこととなるほかはない。
 本件の場合は、先に判断したように、本件両会社は、これまで優良法人との
評価を得ていた上、具体的な問題点を把握した上での調査ではないから、
あえて無予告で調査をしなければならないほどの必要性があったかは、
かなり疑問というべきである。
 しかし、本件両会社は相当長期間にわたって税務調査を受けていなかった
のであるから、両会社の過去数年の申告額について、課税庁が
「在りのままの実態」を調査するために、今回は無予告で調査を実施しようと
判断したことは格別不合理なこととまではいえず、先に認定したとおり、
現場に臨場した直後には、控訴人と電話で連絡され、控訴人及び調査対象者の
反対で実際には調査は行われていないことも考慮すれば、無予告であったこと
のみを捉えて、これを違法と判断するのは相当でない。

 ところで、税理士が調査対象者から税務調査を含めて委任を受けている場合は、
その間に債権・債務関係が生じており、税理士は、必要がある場合は
委任者のために税務調査に立ち会い、委任の趣旨に応じた対応をする義務があり、
その履行によって報酬を請求できることにもなり、委任者も受任者である
税理士に対し、そのような義務の履行を求める権利があるというべきであって、
第三者たる税務職員において、この権利を侵害することは、その方法・態様等の
いかんによっては、債権侵害として違法となることもないとはいえない。
そして、受任者である税理士の明確な拒絶にもかかわらず、調査対象者に直接
承諾を求めることは、その限りにおいて、委任契約を部分解除することを
要求することにもなるのであって、任意の説得の限度を超えれば、
違法となることもあり得るというべきである。
 しかるところ、本件税務署員らは、初回臨場した平成10年2月3日、
控訴人の了解がない以上調査に応じることができない旨の乙会長、丙社長又は
丁社長の回答を受け、控訴人に電話して了解を得てもらいたい旨丙社長に促す
などしたほか、せめて現状確認だけでも実施したい旨申し入れて、それ以上の
情報収集に固執しない態度を鮮明にし、本件両会社関係者がこれにも
応じることなく、控訴人の意向に従う意思を翻さず、事態がこれ以上
進展しないと知れると、結局同日の調査を断念して帰庁し、その後も平成11年
6月に反面調査に着手(両会社とも)するまで1年3か月の間、繰り返し、
控訴人も交えて、A社a営業所又はB社事務所を訪れ、あるいは電話連絡の方法で
税務調査への協力方を依頼しており(時に、乙会長らに直接調査の承諾を求めたり、
同人等から控訴人を説得することを要請したこともあるが、控訴人の意向に従う
との意見表明を受け、結局、控訴人との折衝を続けている。)、この間、
控訴人を排除する形での情報収集活動を遂げた形跡はないことからすれば、
本件税務署員らの上記認定のような要請が多数回にわたったことのみをとらえて
違法と評価することはできない。

 あらかじめこれらの日を調査日とすることを合意の上、税務署員が案内された
部屋にはビデオカメラ等の準備がされており、しかも本件両会社側において、
帳簿等の提示の申し出もないまま、控訴人らがビデオカメラの撮影を開始した
ことから、これを中止するように税務署員が求めたところこれに応じなかったために、
調査拒否と判断して調査を打ち切ったものである。
 しかるところ、国家公務員の守秘義務の対象であると考えられる税務調査の様子が
一般私人によって不特定多数の部外者に明らかにされる危険が予想される状況
において、守秘義務を負う国家公務員が撮影されることを回避するため撮影中止を
求め、それに応じない場合には、後日の説得が功を奏することを期待して、
撮影の対象となっている当日の税務調査自体をひとまず打ち切るという対応が
不相当なものということはできない。

 税理士は、税務に関する専門家として、独立かつ公正な立場において、
申告納税制度の理念にそって、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に
規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする職業人であり、
そのような見地からすると、税理士は、税務代理に関する委任契約を締結した
納税義務者が課税庁の質問検査権を行使されるに当たり、納税義務の適正な
実現に資するべく、その現場に立ち会い、検査の対象となっている納税義務者の
すべき主張・陳述について代理・代行することができることは当然であり、
望ましいことでもある。そして、そのような立場に自覚的な税理士であるほど、
課税庁が税理士の立会いなしにする質問検査権の行使に警戒的になることは
容易に想定されるとともに、本件における控訴人もそのような立場から
本件税務署員らに対応したものと認められ、その心情には理解できるものがある。
 そして、本件の無予告調査の正当性には相当の疑問があることなどからすれば、
本件における控訴人の対応には全く理由がないとはいえないが、本件税務署員らに
違法行為・違法事由があったとまでは認め難いことからすれば、
結局、控訴人の本訴請求は排斥するほかはない。

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